「犯罪ですよ」 沖縄・本部港で辺野古向け土砂搬出再開 警備員死亡事故で中断
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設に抗議していた女性を制止した警備員が6月、ダンプカーに巻き込まれ死亡した事故を受け中断していた辺野古向け土砂の搬出作業が2日、同県本部町の本部港塩川地区で再開された。防衛省関係者への取材で分かった。 【写真】事故現場では警備員がオレンジ色のネットを広げて抗議者がダンプカーの前に出ないようにしている 搬出作業は2日午前9時半から始まった。土砂を積んだダンプカーの前では「辺野古埋立NO」などと書かれたプラカードを持った抗議者らが牛歩で抗議したり、立ちふさがったりして進路をふさいだ。港内ではダンプカーが長い列をつくった。 警備にあたる係員らは「妨害行為はおやめください」「飛び出し行為はおやめください」「犯罪ですよ」などと拡声器で警告。これに抗議者らは「なんの犯罪ですか」と拡声器で反論していた。 塩川地区では事故前も牛歩による抗議活動が行われており、「大型車両の往来を妨害する行為」が県条例の禁止行為に該当すると明記した警告看板も設置されていた。 抗議活動を行う数十人が県庁に押しかけて要請し、設置から約2カ月半で撤去されていたが、この日は搬出再開に伴い、再び掲示された。 事故現場や塩川地区の安全対策を巡っては、防衛局と県が協議を進めているが、防衛局によると、県側から具体的な提案は全くなく、「形式的に場を設けているだけで、安全対策のための実質的な協議になっていないとされる。 一方、玉城デニー知事は「防衛局が協議にしっかりと対応していないのではないか。そう言わざるを得ない」と不快感をあらわにしている。 事故は6月28日、移設工事に使う土砂を搬出する桟橋前の路上で発生。桟橋から左折して国道に出ようとしたダンプカーが、同市の男性警備員=当時(47)=と抗議活動中の70代の女性に衝突。警備員は死亡し、女性は重傷を負った。 県警のこれまでの調べで、現場付近に設置されたカメラに事故に至る状況が写っていたことが判明。産経新聞が政府関係者から入手した映像により、抗議者の女性が動き出したダンプカーの前に飛び出した可能性が高まっている。(大竹直樹)