東京の2倍以上中古マンションが値上がりしている地域がある…さらに上昇が期待できる2つの県の名前
■東京都に隣接しているのに1000万円以下 しかし、逆にいえば、これまでこんなに上がっているということは、今後も上がり続けるのか少し不安になるのではないだろうか。 そこで、まだまだ上昇率はさほどではないが、価格の安い、魅力的な地域はないのだろうかと探してみると、意外に近くにあった。それが東京都に隣接する山梨県だ。 図表2にあるように、70平方メートル換算の中古マンション価格の平均は846万円と、何と1000万円を切っている。「マンションレビュー」のデータでは、1000万円を切っている県はこの山梨県だけだった。 山梨県は東京都とJR中央本線でつながっていて、一番東京寄りの上野原市からは新宿駅までは1時間ほどだから、十分に通勤が可能だろう。少し西側の大月市でも1時間30分ほどで通える。 ■神奈川県の4分の1の値段で手に入る また、県庁所在地の甲府市でも、JR特急の「あずさ」や「かいじ」を使えば、新宿駅に1時間30分ほどで到着する。首都圏の神奈川県、埼玉県、千葉県の郊外に住んでいる人なら、1時間以上の通勤時間をかけている人は少なくないので、山梨県は十分に通勤圏に含めて考えていいのではないだろうか。 在宅勤務が可能で、東京への出社が月に何回か程度でいいのであれば、居住先として考えていいだろう。 それでいて、70平方メートル換算の平均価格が846万円なのだから、たいへん魅力があるのではないだろうか。ちなみに、先の「マンションレビュー」のデータによると、首都圏の神奈川県の平均価格は3339万円で、埼玉県は2680万円、千葉県は2437万円となっている。山梨県なら、その3分の1から4分の1程度で手に入れることができる計算だ。
■1100万円台の和歌山県にも期待高まる 70平方メートル換算価格が山梨県に次いで低いのが和歌山県の1157万円だ。10年前の価格は736万円だったのが、57.2%上がっている。近畿地方にありながらも、この価格帯にとどまっていて、上昇率もそんなに高いわけではないので、今後は1000万円台の後半から2000万円台への突入も期待できるのではないだろうか。 和歌山県の北部は阪神工業地帯に属するものの、大阪府や兵庫県に比べるとさほど工業生産が多いわけではなく、むしろ近年は南部を中心とした豊かな自然への関心が高まっている。 和歌山県は梅、柿、蜜柑などの果樹栽培が知られているが、マグロ、カツオなどの漁業も盛んで、近年では近畿大学水産研究所による「近大マグロ」がブランド化している。豊かな自然のなかで、京都・奈良などの古代文化の影響を受けて、文化も豊か。 世界遺産に登録されている熊野三山、弘法大師由来の高野山などがあり、コロナ禍が明けてインバウンド客が急増している。大阪府や兵庫県などの産業界から離れているデメリットが、ここへきてメリットに転じているのではないだろうか。 このように人の流れが盛んになれば、経済も活性化し、不動産・住宅価格の上昇も期待できる。いまのうちに、先物買いしてもいいかもしれない。 ---------- 山下 和之(やました・かずゆき) 住宅ジャーナリスト 1952年生まれ。住宅・不動産分野を中心に新聞・雑誌・単行本の取材、執筆、講演、セミナー講師など幅広く活動。著書に『2017-2018年度版 住宅ローン相談ハンドブック』『よくわかる不動産業界』など。 ----------
住宅ジャーナリスト 山下 和之