シマエナガは乱暴者だが愛される おみくじ好評、「聖地」になった帯廣神社
野鳥や花木への関心を深めた一方で、七十二候とは別にシマエナガの観察記録もフェイスブックでスタート。自分なりに編み出した探し方や巣作りから子育てを写真ですべて記録し、発信している。カメラのシャッターを切るたびに「心を射抜かれるかわいさがある。ボーッとその姿を観察できるのは特権ですよね」と目を細めた。
地域に必要な存在に
一連の取り組みは今、バードウオッチングをしながら境内を歩くことで、日光を浴びたり、水音や木の葉が揺れる音に耳を傾けたりしながら幸福感が得られるという「お散歩参り」の推奨や、境内にある「緑の池」や花手水(ちょうず)など神社の自然と「映え」を生かした情報発信に生かされ、帯廣神社の知名度アップにつながっている。 大野宮司は「神社が行きたくなる存在になれば、健康や精神の状態を整えながらその先にある夢を願うステップになる。それが神社の本来の役割」とし、「地域観光の一翼も担いながら、人や街にとって必要な存在でありたい」と力を込めた。
「己の立てるところを深く掘れ。そこには必ず泉あらん」とは明治時代の思想家・高山樗牛の言葉だが、幼い頃から当たり前にあった周囲の自然環境を丹念に調べて七十二候をつくり上げたことで、大野宮司はシマエナガを見つけることができた。宮司にとってシマエナガとは、との問いかけに「一つのターニングポイントだった。物の見方、自然の大切さを学んだ」と語った。(細谷敦生、植木康則)
<シマエナガ>
北海道に生息している野鳥で、本州にいるエナガの亜種。体長は14センチほどだが、その半分近くは「柄」と言われる長い尾羽。夏の羽毛は茶色いが冬になると白くなり、身体を温めるために空気を含んで丸みを帯びる。その愛くるしい姿が人気となり、今では写真集やぬいぐるみなどのグッズが売られ、テレビでも特集されている。