シマエナガは乱暴者だが愛される おみくじ好評、「聖地」になった帯廣神社
月5000個製作
宮司の観察日記など積み上げてきた“実績”に加わった専門家のお墨付き。それからは御朱印や絵馬にも人気が集まり「#シマエナガ神社」として定着。おみくじは年を追うごとに製造数が増えている。ずらりと一列に並ぶ「シマエナガ団子」のために2個3個と集めて飾る人もおり、現在は月3000~5000個ペースで製作。色違いのない一つのパターンでこの数は「他の品と比べ多い方。ブームについていくのが大変」(市川社長)と笑う。
きっかけは魅力探し
今や帯廣神社にとってシンボル的な存在とも言えるシマエナガ。この鳥と大野宮司との“出合い”のきっかけは、「帯廣神社の魅力探し」だった。 帯廣神社が地域や住む人々にとって必要な存在と思ってもらうためには、神社に足を運んでもらう必要がある。そのためには「ここにしかない」「行きたくなる」魅力をPRしたい。でも一体どうすれば-。そんな中、大野宮司は、広島県杉森神社が、七十二候(しちじゅうにこう)を写真と文章でまとめた本を見つけた。
七十二候の十勝版に挑戦
七十二候とは、「大寒」や「春分」などの二十四節気をさらに約5日ずつ分けたもので、本にはそれぞれに「桜始開(さくらはじめてひらく)」「温風至(あつかぜいたる)」など、その時期の季節感を表す名称が付いていた。だが本州ベースで気候や取れる作物、旬の食べ物を表現しており、十勝の感覚とはほど遠い。そこで「帯廣神社の鎮守の杜(もり)の自然を観察し、自分で十勝版をつくってみよう」と思い立つ。
2016年ごろから境内の観察を始め、梅の花が咲いたり、雪化粧が始まったりするたびに自ら写真を撮り、この写真に俳句や短歌を合わせ、1年間ほどフェイスブック(FB)で発信した。その中の「秋分次候(およそ9月28日~)」が「島柄長鳴(しまえながなく)」。撮影に当たって1年間、図鑑やインターネットで帯広や北海道の花や生き物、気象を調べた大野宮司。その中で「(ブームになる前だったが)この鳥の存在は知っていた。境内にもいるのかなと思ったら、いた」。帯廣神社にとって、この純白で丸く愛らしい姿の鳥の記念すべき初投稿となった。