シマエナガは乱暴者だが愛される おみくじ好評、「聖地」になった帯廣神社
【北海道帯広市】「#シマエナガの聖地」-。冬になると帯廣神社のインスタグラムアカウントには、このハッシュタグが付いた写真の投稿が並ぶ。純白で丸く愛らしい姿で「雪の妖精」とも呼ばれるシマエナガ。今や人気は全国区となっている。 【動画】シマエナガの聖地・帯廣神社
その帯廣神社に、手のひらにちょこんと乗る大きさの、陶器のシマエナガがいる。少しキリッとした目つきが印象的。くちばしや目の周り、尻尾の長さにもこだわっている。2018年11月に登場した「シマエナガみくじ」(初穂料500円)だ。
宮司自ら紙粘土で成形
このおみくじ、「完成まで2年かかった」と大野清徳宮司。製作は全国各地の神社のおみくじに使われる干支(えと)や七福神などの陶器を製造する、「瀬戸焼」で有名な愛知県瀬戸市のセラドリーム(市川正社長)に依頼。北海道だけの鳥のため、ぬいぐるみや写真を先に送って特徴を伝えていたが、試作品第一号はまるでハト。「形や表情の絵付けが、これではだめだ」 市川社長も自らシマエナガのぬいぐるみや小物を独自に買い集め、「白いスズメみたいでかわいい」という印象だった。だが大野宮司は観察を続ける中で、この鳥が「実は乱暴者」と知り、性格を表情に反映させたいと思っていた。自ら紙粘土で成形し、会社に何度も来て調整を重ねる真剣な姿に「宮司の強いこだわりを感じた」。同社として一商品の開発に2年掛けるのは長い方で「特に顔の絵付けには苦労した」という。 帯廣神社のシマエナガみくじなど7種類の授与品は、全国のメディアに取り上げられる。道内各地に生息する鳥だが、帯廣神社が特別視される要因は「聖地化」の成功だ。
鳥の専門家が太鼓判
バードウオッチング専門誌「BIRDER(バーダー)」(文一総合出版)は2022年12月にシマエナガブームを特集。探鳥地の一つとして帯広市を紹介した。編集に携わった同社の高野丈さんは、20年ほど前に妻の実家がある市内に帰省した際、同神社の境内で初めてこの鳥を撮影したという。高野さんは23年1月のnoteで「わたしがシマエナガの聖地を挙げるなら、エナガ本でも紹介した帯廣神社だ」とつづった。