「大活躍のちケガ」を繰り返し…今季で現役引退の巨人・梶谷隆幸(36歳) 同期入団の親友が見た“ケガと向き合い続けた”野球人生とは?
自暴自棄との狭間で
この時期の梶谷に、何度か会っている。 折に触れて野球の話になった際は、「オマエ、ほんま野球好きやな。野球の話はもうええやろ」と、とにかく遠ざけようとした。気持ちが切れてはいけない、ヤケにさせてもいけない。そんな気を遣ってみるものの、全てが空振りに終わる。 自分の力でどうにかできることなら、悩んだり、もがいたりできようというもの。しかし、ただ回復を待つだけの日々に、どうやってモチベーションを保てるというのか。悶々とした日々の中で、心無いファンからの誹謗中傷は増えていく。「カジ、プロ野球選手ってのは、大変な仕事だな」と思わず呟いた。 「そういうもんだろ、この世界は。ひどい言葉も届くけど、確かにその通りだもんな。俺、仕事してないし。でも、それだけ期待されているってことだし、忘れ去られてはないってことよ。それに、活躍すればそれが一気に大歓声に変わる。誹謗中傷されるのが嫌なんだったら、辞めりゃいいんだよ、プロ野球選手」 梶谷の心に、まだ消えていない炎が見えた。 <次回へつづく>
(「プロ野球PRESS」高森勇旗 = 文)
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