【MotoGP現場ぶら歩き】山に囲まれたムジェロ・サーキットに感じたコントラストと、コース“外”で上がるエキゾーストノート
あらためて実感、サーキットにも個性がある
MotoGPのイタリアGPが開催されるムジェロ・サーキットは、イタリアの中部、トスカーナ地方に位置するサーキットです。わたし(筆者:伊藤英里)にとっては、今回が初めてのイタリアGPの現地取材でした。ムジェロ・サーキットを初めて訪れたわけです。 【画像】ぶら歩き。ムジェロ・サーキットを画像で見る(15枚)
それまで滞在していたブルガリアの首都ソフィアからローマで飛行機を乗り継ぎ、フィレンツェ・ペレトラ空港でレンタカーをピックアップして、フィレンツェの宿に向かいました。空港から宿までは約8kmの道のりです。ムジェロ・サーキット近郊の大きな街は、フィレンツェになるでしょう。 今回予約した宿は、アパートメントタイプでした。イタリア語しか通じないオーナーと翻訳アプリを使って会話します。なんとも便利な時代になったものです。そして、宿の説明を終えたイタリアン紳士に、いつもの質問をしました。機会があれば、わたしは現地の人にこの質問をすることにしています。 「MotoGPは見ていますか?」 彼は少し困ったように「今は見ていないんだ。以前は見ていたんだけど、今は(視聴するのに)有料になってしまったからね……」と答えてくれました。 そのイタリアン紳士は、サッカーファンなのだそうです。とはいえ、「MotoGP」が説明なしで通じるあたり、イタリアだなと感じます。カタールやブルガリアでは、「MotoGPというのはね……」という説明から始めなければならなかったのですから。
さて、フィレンツェの空港から宿まではとても近くて便利なのですが、ムジェロ・サーキットとフィレンツェはクルマで片道約40kmの道のりです。わたしが泊まっていたフィレンツェ西部にある宿からムジェロ・サーキットまでは、高速道路と片側1車線の一般道、そしてすれ違うのもやっとな道幅の道を走ります。 サーキット周辺の道ではサーキットやその近くでテント泊でもしているのだろうファンたちがわいわい話しながらふらふらと歩いているので、本当にドキドキです。レースウイークの往復はなかなかに大変でした。 山の間を縫って高速道路を走り、現地に着いてみると、サーキットがどんな場所にあるのかがわかります。ムジェロ・サーキットは周りを山に囲まれた場所にあるのです。駐車場から、最も低い位置にあるパドックとメインストレートが見下ろせるのです。パドックやピットレーンを歩きながら目線を上げると、眼前には山々がそびえていました。そんな中、レーシングマシンのエキゾーストノートが響き渡っているのです。 今回は、コースの前半の3分の2ほど、コースサイドを歩いてみました。実際に歩くと、アップダウンの大きさがわかります。くねくねとS字のカーブが続き、上ったかと思えば下り、そして長い長いメインストレート。 標高差は41.19mで、メインストレートは1.141kmもあります。長いロングストレートによって、MotoGPクラスでは366.1km/hの最高速が記録されています。