新潟の柏崎刈羽原発再稼働めぐり首長間に隔たり 立地の市長は前向きも知事「見通せない」
東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働問題で焦点となる地元同意をめぐり、首長間の立場の違いが浮き彫りになっている。立地する柏崎市と刈羽村の首長が再稼働に前向きな意向を示す一方、花角英世知事は6日の記者会見で「どのタイミングで判断できる状況になるのかは、いまの時点では見通せない」と述べるにとどめた。政府は原発を最大限活用する方針を掲げるが、柏崎刈羽原発の再稼働の時期は予断を許さない状況が新年になっても続いている。 ■技術的には準備整う 「柏崎刈羽原発は、技術的には再稼働の準備が整った状況にある」。東電の福田俊彦原子力・立地本部長は昨年11月、報道陣にこう述べた。地元同意が得られれば、いつでも動かせる状態にあることを強調した。 立地する柏崎市と刈羽村では再稼働への理解が進んでいるといえる。両市村では昨年11月、任期満了に伴う首長選が行われ、柏崎市長選は再稼働を条件付きで容認する姿勢を示す現職の桜井雅浩氏が大差で3選。刈羽村長選は、再稼働を容認している品田宏夫氏が無投票で7選を果たした。 「再稼働の是非について判断を下し、その判断について県民に信を問う時期に来ている」。桜井市長は3選を決めた際にこう述べ、花角知事に対応を促した。品田村長も「原発が発電することで村が回っていく。それが村の望む姿だ」と再稼働の必要性を訴える。 ■春ごろに判断材料? こうした中、柏崎刈羽原発の安全性を議論する県の技術委員会は、昨年12月26日に報告書案を取りまとめた。多くの安全対策は「問題なし」としつつ、一部委員の間で意見が分かれた項目は原子力規制委員会の判断を尊重する内容とした。 花角知事は今月6日、今年初めて開いた定例会見で、再稼働をめぐる地元同意の判断材料が春ごろに出てくるとの見方を示し、「(判断のための)材料を県民に咀嚼していただき、どういう受け止めをするのか見極めていく」とした。その上で「材料が出そろう中で議論が深まり、県民の気持ちは固まっていくと思うが、どのタイミングで確実に私として判断できる状況になるのかは、いまの時点では見通せない」と具体的な言及は避けた。 花角知事はこれまでも住民投票や出直し知事選の可能性に言及してきたが、具体的な手法や時期はいまのところ明らかにしていない。