新潟の柏崎刈羽原発再稼働めぐり首長間に隔たり 立地の市長は前向きも知事「見通せない」
新潟県内の市民団体は、柏崎刈羽原発の再稼働の是非を問う県民投票の条例制定を目指して、署名活動を実施。条例制定を直接請求するのに必要な署名数に達している。
■「複合災害」に懸念
また、柏崎市や刈羽村の隣接自治体で、柏崎刈羽原発から一部が30キロ圏内に含まれる長岡市の磯田達伸市長も「未解決の課題が山積している」と指摘する。
その一例が、地震や大雪などの自然災害と原発事故が重なる「複合災害」への対応だ。昨年1月の能登半島地震では、北陸電力志賀原発(石川県)の周辺で道路の寸断が相次いだことから、複合災害の際の避難の在り方を心配する声がある。
新潟県議会で最大会派の自民党も、再稼働の是非をめぐる議論については、柏崎刈羽原発でのテロ対策の不備など不祥事が続いた東電が「県民の信頼を回復してからだ」との立場だ。
政府は昨年12月に公表した新たな「エネルギー基本計画」の原案で、原発を最大限活用する方針を明確に打ち出した。柏崎刈羽原発は、首都圏の電力需給安定化で重要な役割を担う。経済産業省資源エネルギー庁は再稼働への理解を求めるため、昨年12月10日から今年2月にかけて、柏崎市と刈羽村を除く新潟県内の28市町村で、県民向けの説明会を順次開催している。
地元同意を得られれば動かせる状態にある柏崎刈羽原発だが、その道筋はなお見えてこない。(本田賢一)