中学2年生の農協組合員、人気の直売所に出荷する野菜は年間1万点! 農業に夢中だから「影響を肌で感じる」と気になることは…
安曇野市穂高西中学校2年の飯沼永遠(とわ)さん(13)は、地元の農産物直売所に年間1万点余の野菜を出荷している。あづみ農協(本所・安曇野市)の正組合員。日中、学校に通っていても栽培できる葉物野菜を中心に年間約20品種を栽培する。農業が生活の中心と言えるほど夢中になっており、父親から管理を任された市内の3アールの畑に、平日の早朝、夕方と、休日に通って作業に汗を流す。 【写真】親子の似顔絵が描かれた出荷用のシール
永遠さんは2、3歳の頃から、農家で祖父の春夫さん(71)や父親の竜也さん(42)と、安曇野市穂高牧の祖父母宅から車で5分ほどにある畑に通った。北アルプス常念岳を望む計約4ヘクタールの畑では今も、ナガイモ、トマト、レタスなどを栽培。最初は土遊びをしていた永遠さんはやがて農作業に興味を持ち、小学校に上がる頃には畑の隅で、野菜を育てるようになった。
最初に育てた野菜はチンゲンサイ。栽培の期間が短く、育てやすいと竜也さんが勧めた。収穫したチンゲンサイは母親が炒め物にして、食卓に並んだ。「自分が種をまいたものがおいしい料理になる。食と密接につながる農業にひかれた」と永遠さんは語る。将来も農業をするのが夢で、収益は大切に貯金している。
初めての出荷は小学2年生
出荷を始めたのは小学2年生の初夏。「せっかく作っているなら」と竜也さんが提案した。出荷先は、あづみ農協が運営する直売所「安曇野スイス村ハイジの里」。県道沿いにあって、地域住民も観光客も訪れる人気の施設だ。見た目も味も十分商品になる、と竜也さんが判断したホウレンソウとハツカダイコンを、「永遠の野菜シリーズ」と銘打ち、永遠さんの似顔絵を印刷したシールを袋に貼り、竜也さんの名前で出荷した。
小学4年生の時、永遠さんは年間50日以上農業に従事しているとなることができる、あづみ農協の正組合員となった。農産物を協同で販売する農家の互助組織である農協の組合員になると、自分の名で農作物を出荷できるためだ。県農協中央会(長野市)によると、正組合員の中学生は県内ではとても珍しいという。