「悪魔ちゃん」命名騒動から31年 “キラキラネーム”は2025年施行「改正戸籍法」で規制される?
現在の戸籍法は「文字」だけを規制の対象にしている
子の名前に関する規則を定める法律は、戸籍法50条によって以下のように定められている。 ・子の名には、常用平易な文字を用いなければならない。 ・常用平易な文字の範囲は、法務省令でこれを定める。 「常用平易な文字」とは、常用漢字表に掲載されている漢字や、カタカナまたは平仮名など(戸籍法施行規則60条)。 現在の戸籍法は、基本的に、名前の読み仮名ではなく名前に使われる「文字」を規制の対象としている。 また、原則として、「常用平易な文字」の範囲内であれば、どんな文字でも使用することが認められている。 しかし、「悪魔ちゃん」命名について判断を行った家庭裁判所は、以下のような場合には例外として、戸籍管掌者(市町村長)には名前の受理を拒否できる場合があると示した(東京家裁八王子支部審判平成6年1月31日判例時報1486号56頁)。 1:命名権の濫用にあたる場合 2:社会通念上明らかに名として不適当な場合 3:一般常識から著しく逸脱している場合 4:名の持つ本来の機能を著しく損なう場合 そして、「悪魔」は「命名権の濫用にあたる場合」であるとして、役所が出生届の受理を拒否できると示された。
「キラキラネーム」の扱いは?
「キラキラネーム」も家庭裁判所が掲げた例外にあたり、命名にストップをかけられるように思われる。 しかし、実際には「戸籍管掌者の権限」という問題が関係してくる。 戸籍管掌者はあくまで形式的な審査しかできないことになっており、命名が形式上のルールを満たしていれば、拒否する裁量は認めていない。 そして、戸籍法は文字の範囲しかチェックの対象にしていない。 このため、戸籍管掌者は名前の文字の意味や実際の読み方などを審査することができず、キラキラネームもすべて認められてきた。
2025年からの「改正戸籍法」は読み仮名も規制の対象に
2025年5月に施行が予定されている「改正戸籍法」により、戸籍には氏名のフリガナも記載されるようになる。 そして、「氏名として用いられる文字の読み方として一般に認められているものでななければならない」という趣旨の規定も設けられる。 これにより、今後は、「キラキラネーム」などの命名に対して役所がストップをかけることが可能になる。