“後悔だらけ”の岡崎慎司、プレミア制覇の裏でFWとしての苦悩。「ハードワーク、潤滑油を一番認められてしまったがために…」
シント=トロイデンの元日本代表FW岡崎慎司が24日の引退会見で、自身の選手生活での後悔、印象に残っている試合などについて語った。 今年2月に今季限りでの現役引退を発表し、20年間の現役生活に幕を下ろす決断をした38歳の岡崎。そんな岡崎はこれまでのキャリアで後悔したことについて問われると、「後悔だらけというか、ある意味自分が目標を口にしたものはほとんど達成できていないと思っていて…」と吐露して以下のように続けた。 「ワールドカップ(W杯)優勝や北京オリンピック、プレミアリーグでの2桁得点、ビッグクラブでもプレーしていませんし、セリエAや4大リーグでプレーしたいという夢も達成できなかった。40歳まで現役を続けるという最後の目標を決めていましたけど、最後のW杯への出場もワンチャンあると思っていました。その中で今回そういう決断をしたというのも、後悔ばかりというか。やってきたことへの後悔はないですけど、ほとんど記憶に残っているのはそういった悔しさだと思います」 そう語る岡崎だが、「自分がここまで来れると想像していたかというとそうではないので、ということはやってきたことは間違いではなかったかなと。次の人生でその先を見れたらなと思っています」とセカンドキャリアでの夢の実現を誓った。 日本代表、清水エスパルス、レスター・シティのほか、ドイツやスペインなど数多くのクラブを渡り歩いてきた岡崎。そんな同選手の印象に残っている試合は、奇跡のプレミアリーグ優勝を成し遂げたレスターでのゲーム。「ほぼ全部印象には残っているんですけど…」と前置きしながら、「ニューカッスル戦でのオーバーヘッド」と2015-16シーズンのプレミアリーグ第30節でのゴールを挙げた。 その理由には、ストライカーとしての苦悩も混じっていた。「プレミアリーグにいって、まずフィットするという自分のハードワーク、チームの潤滑油みたいなところを一番認められてしまったがために、45分や60分で交代させられるという試合も多かったシーズンで、ある意味その悔しさは自分しか知らず、周りはわかっていなくて(笑)」と周囲からの称賛とは裏腹に悔しさがあったことを告白。 「自分がどこで証明するかというとゴールしかなかったので、当然ストライカーとしてゴールを決めたいというものとは別に、見返したい、監督であったり選手が、『岡崎はこういう選手だ』という枠を超えたいという、そういったものの印象的なゴールの一つとしてあのオーバーヘッドは記憶には残っているかなと思います」と語った。一方で日本代表では、「W杯での歴史的なゴールをとったとかがありません。正直自分が欲しかったのはそれでした。それがないということで悔しさの方が残っていますけど、それでも南アフリカW杯アジア最終予選のゴールであったり、嬉しかったゴールはたくさんあります」とコメントしている。 日本代表歴代3位の50ゴール、プレミアリーグ優勝など偉大な実績を残しつつも、本人から多く言葉として出てくるのは「後悔」や「悔しさ」。そんな現役生活で一番苦しかったことについて問われると、「日本代表を外れてからの最後の4年間」を挙げた。 「苦しかったというより、改めて日本代表でプレーすることのやりがいというか、それを感じてやっぱりあそこで活躍してW杯に出たいという思いでやっていました」 岡崎慎司が最後に日本代表に選出されたのは、2019年のコパ・アメリカ。以降は招集されることはなかったが、それでも当時同じスペイン2部のレアル・サラゴサでプレーしていた香川真司とともに、日本代表への復帰に向けて切磋琢磨していたという。 「当時スペイン2部(のウエスカ)に行ってここからのしあがっていくというところで、香川真司も同じ境遇にいたので、彼とそういった話をすることで自分も救われた部分もあります。正直それまでは真司とそういう話をあまり深くはしたことがなかったですけど、同じ境遇になって『ここからW杯目指そうな』という話をしてからは、助けられたし、向こうも刺激にはなったと思うので、その存在があったからこそ最後の自分のキャリアの4、5年、代表に入れていない時期を頑張れたのかなと思います」 2005年に滝川第二高校から清水エスパルスに入団し、プロキャリアをスタートさせた岡崎。その後はシュトゥットガルト、マインツを経て、レスター・シティに加入すると、2015-16シーズンには献身的なプレーを武器に奇跡のプレミアリーグ初優勝に貢献した。その後はマラガ、ウエスカ、カルタヘナと渡り歩き、2022年8月からシント=トロイデンでプレーしていた。クラブではキャリア通算公式戦587試合128ゴール28アシスト。2008年9月にデビューした日本代表では、119試合のキャップ数を誇り、歴代3位となる50ゴールを記録した。