全員でつかんだホーム最終節での完封勝利。浦安・小宮山友祐監督「誰が出ても安心できるゲームだった」【Fリーグ第21節|記者会見/浦安vs湘南】
自分で引き際を決められるのは幸せなこと
──そして、今日の主役として大島選手が2ゴール1アシストをマークしました。引退を発表し、今日がホームで戦う最後の試合になったヒーローに対して、監督の思いを教えてください。 高校卒業して新潟から上京して、セレクションを受けに来た時から彼のことを見てきましたが、当初は最初は本当に細くてひ弱で「本当に大丈夫か?」とかなり心配でした。前監督のリケルさんが「あいつは絶対化けるぞ」ということで加入が決まり、彼がセグンドで練習しているのを見て、ボールコントロールもうまいし、ボールを丁寧に扱う選手だなという印象を受けたことを覚えています。 ただ、フィジカルが弱すぎて、このままじゃFリーグでは到底無理だろうなと。それでもリケルさんがトップに上げるという判断をして、強化指定選手としてプレーしていましたが、予想どおり強度が足りず、試合に絡めないことが続いたので、もう一度セグンドで鍛え直してこいという話をしました。彼からしたら、降格したというショックもあったとは思いますが、本人には降格ではなく、試合経験を積ませたいと話をして、「セグンドで王様になって戻ってこい」と送り出しました。 そこから決して腐ることもなく、努力し続けたことが彼の人間性の素晴らしさです。自分がやるべきことにしっかり目を向けて、コツコツこなしてきてくれました。もともと技術や戦術眼は素晴らしいものを持っていましたが、それに経験とフィジカルが少しずつついてきて、セグンドでも中心選手になって、実力をつけてトップチームに戻ってきてくれました。 今では、チームでも指折りの球際の粘り強さを見せてくれて、相手に引きずられて何回吹っ飛ばされても、何度も向かっていく。足で相手がボールを蹴るところを頭でいったり、人一倍泥臭い部分を非常に評価しています。私もこういう性格なので、あんまり選手に面と向かって褒めることのほうが少ないですが、常に厳しい要求に答えてくれた選手だったなって。彼はもともとフットサルは5年間というのを決めてたので、残りが何年っていうところも逆算して、今、何をしなきゃいけないかっていうのをよく考えていたんだと思います。 予定どおり5年で辞めるという話を聞いた時も、もったいないぞというのは何度も伝えましたし、今シーズン怪我して半年出てないんだから、まだ4年半だろって話もしました。もし監督が嫌で辞めるなら、「俺が辞めるからお前が現役を続けろ」と言いたくなるくらいの逸材です。本当に日本のフットサル界においての財産だと思いますし、あんなパフォーマンス出せる選手が辞めてしまうことが、一人の先輩として、所属チームの監督としてはやっぱり寂しいです。 でも頑固なんですよ。もう5年って決めたら、5年ですと。フットサル選手をやることも指導者をやることも、彼の人生ですからね。 ただ、アキ(大島)にも竜馬にも伝えましたけど、自分で自分で引退を決められる選手って幸せなんだぞと。どのスポーツも自分で引退って決められる選手って少なくて、大体が戦力外通告を受けて辞めることの方が多い。自分で引き際を決められるっていうのはすごい幸せなことなんだよって。だからこそ、次のチャレンジはもっと頑張らなきゃいけない。そこから先の人生の方が長いし、何をするかはずっと見られているからねということは伝えました。 あとは最後に。高橋健介しかり、私もそうでしたけど、浦安で引退決めた選手って、大体ホーム最終節に点を取るんですよ。だから今日も試合前に「引退決めたやつって大体点を取るから、期待してるぞ」と言ったら2点も取って。もうびっくりです。フットサルの神様か浦安の神様がいるのかなって、ちょっと震えましたよね。 U-23の代表にも呼ばれましたし、今日だって長坂、石田、本石よ代表選手といきなりポンと出されてもあれだけのパフォーマンス出せるって、やっぱり特別ですよ。もったいないなとは思いますけど、彼のこれからの指導者を目指す道を応援したいなと思いますし、一人でもいい選手を育てて、彼のチームからこの浦安でプレーする選手が出てきてくれたらうれしいです。 ──語りきれないかと思いますが、加藤選手に引退に関しても、少しだけ気持ちを聞かせてください。 竜馬に関してはもう功労者ですよね。一緒にプレーもしましたが、よくやってくれてます。 神戸から来たやんちゃ坊主がキャプテンになって、日本代表になって……。私が1年目監督になった時も、迷うことなく竜馬にキャプテンをお願いしましたし、本当に人としても成長してくれました。 ただこのクラブのことを考えたらずっと彼だけに頼っていたらダメだし、自分のプレイに集中して欲しいという思いもあって、(石田)健太郎をキャプテンにしたいと相談した時も納得してくれて。それからも、ベテランとして素晴らしい振る舞いをしてくれましたし、うちの選手たちは竜馬の背中を見て成長してきたと思うので、もう感謝しかないです。 シーズンが始まる前に「まだやれるんじゃないか」という話をしましたけど、彼も意思が固かったですね。さっきも言ったとおり、こっちが無理やりやらせるものでもないし、そうやって自分で引き際を決められたっていうのは、竜馬にとってもいい決断だったのかなと思います。 まだこれからもレギュラーシーズン1試合と上位リーグ5試合、全日本選手権もあるので、浦安の心臓として、魂として。若い選手に経験や振る舞い、プレーの全てを全部置いていってほしい。それができるのが竜馬なのかなと思うので、期待しています。
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