Netflix話題作に関わるプロデューサー、髙橋信一の思考。『地面師たち』『ONE PIECE』製作の裏側
「半径100mで起こる身近な題材が人間の根源的なテーマに結びついている」
―ほかのドラマや映画との大きな違いが、世界中が視聴者ターゲットであるということですよね。作品をつくるうえで、日本の視聴者はもちろん、海外の視聴者をもターゲットとするために意識していることなどありますか? 髙橋:企画を選定するなかでグローバルを意識することはあまりなく、まずは日本のお客様にどれだけ観ていただけるのかを突き詰めています。 ただ、大根さんが「地面師」という題材に惹かれたように、半径100メートルで起こる身近な題材が人間の根源的なテーマに結びついていることもあるので、それを突き詰めていけば自然とグローバルに受け入れられるテーマに近付くのかなとも思っています。それは他国のNetflixも同様ですね。 ―直近のニュースリリースによればNetflix全体の視聴数のうち1/3が非英語作品だそうですね。『シティーハンター』が世界で1,600万ビュー(総視聴時間を作品の時間で割った値)を記録したとか。 髙橋:鈴木亮平さんもエジプト旅行に向かう機内で「『シティーハンター』を観たよ」と声をかけられたそうで。それだけ広い世界で観ていただいているというのは素晴らしいことですよね。作品が反響を呼ぶことで、日本の俳優やクリエイターが世界で知名度を広げていくというのはNetflixが貢献できる大きなポイントだと思うので、その意味でもすごく嬉しいヒットです。 ―やはり日本の優れたクリエイターやキャストを海外に紹介することもNetflixは意図しているのでしょうか。 髙橋:「意図」ということではないのですが……ただ、俳優やスタッフ含む日本のクリエイターの才能は世界でもトップレベルだと思うので、Netflixというプラットフォームが日本の才能にとって世界に出ていく窓になれば嬉しいですよね。これまでは、日本の映像産業の商慣習や言葉の壁で、なかなか世界に広がりづらい状況が続いていたと思うので。 Netflixのプラットフォームを通じて日本の作品が世界に羽ばたいていくのはもちろん、Netflixは各国にSNSなどのオウンドメディアもあるので、そういった特性を活かしながら日本の作品やクリエイターの認知が上がる助力になれば良いなとは考えています。