「息子にごめんね」母親は涙流し判決に悔しさ‥放課後デイ送迎中に中学生死亡 元職員が『猶予付き判決』に遺族「私たちは何を信じたらいいのか」被告から謝罪なく「許せない」
放課後等デイサービスの利用者の中学生が川で溺れ死亡した事故をめぐり、業務上過失致死の罪に問われた施設の担当者の男に執行猶予付きの有罪判決が言い渡されました。遺族の母親は涙を流し「判決に納得できない」「息子にごめんねとしか言いようがない」などと会見で話しました。 【画像を見る】元職員の宇津雅美被告(66) 判決によりますと、宇津雅美被告(66)は大阪府吹田市の放課後等デイサービス「アルプスの森」(既に閉鎖)で児童支援計画の作成などを担当していましたが、2年前(2022年12月)に清水悠生さん(当時13)の安全管理を怠り死亡させました。
送迎は「2人で行う」と説明も1人での送迎が常態化
清水悠生さんには自閉症があり水に強い執着があった悠生さんは送迎車から降りたあと敷地外に走り出して川に飛び込み、溺死したということです。 宇津被告側は送迎は職員2人で行うと両親に説明していましたが、実際は事故の際も含めて職員1人での送迎が常態化していました。 これまでの裁判で、宇津被告は、起訴内容を認めていて、検察側は「人命を預かる者として必要な危機管理意識が欠落していた」と糾弾し、懲役1年10か月を求刑していました。
「危機意識に欠けた対応」と指摘も「社会的制裁受けている」被告に執行猶予付き判決
23日の判決で大阪地裁は「障害を有する子どもを預かる者として危機意識に欠けた対応をしていたと言わざるをえない」と指摘した一方、「施設が閉鎖され失職するなど社会的制裁は受けている」として、宇津被告に懲役1年10か月・執行猶予4年の判決を言い渡しました。
悠生さんの母親 判決に「納得できない」
判決の言い渡し後に大阪市内で会見を開いた悠生さんの両親は、判決に対して「納得できない」と悔しい気持ちを語りました。 (悠生さんの母親 清水亜佳里さん)「判決には期待していました。しかし執行猶予が付いた実刑判決ではなかった、一言でいえば非常に残念です」
「通い続けていなければ死んでいなかった」
会見の冒頭、こう話した母親の亜佳里さん。その後、施設を信用していたにもかかわらず裏切られた思いを述べました。 (悠生さんの母親 清水亜佳里さん)「この施設に息子は6年間通っていました。当初から、突然飛び出して走り出すというものがあり、契約段階で子どもの特徴を伝え、車の乗り降りの所が特に危ないので、2人体制で注視しますということで、それを信用して預けることになりました。私はもちろんずっと信じて疑いもせずに来ていました。しかしこの事故が起きて、まずありえないと思って、信じられない気持ちでいっぱいでした。何かしら伝えられていたら息子を通わせる判断をそこで辞めたと思います。ここに通い続けていなければ息子は死んでいなかったと思います」