「1000分の1も怒らなくなりました」名門野球部の“熱血コーチ”だった男が女子野球部の監督に?…37歳指導者が驚いた「男女のギャップ」
男子野球との違い…女子野球は「新世界」
新たなる挑戦、女子野球。 松崎はそれを「新世界」と表現する。 前述したように、怒鳴られたとしても翌日には明るさを取り戻す切り替えの早さ然り。盛岡大附や聖光学院のように男子の強豪野球部であれば、「これをしなさい」と多くを語らずとも選手は足並みを揃えられるが、女子には筋道を立てて促さなければ納得されない。 コーチの藤田捺己が、女性の視点から松崎の苦悩に理解を示す。 「理解できていないと、『何言ってるの? 』って顔をしながら『はい! 』って返事するから、結局はわからないままっていう子は多いと思います。女子の私ですら噛み砕いて説明しているくらいで。あと、適当だったり、のんびりしていたり、性格がそのまま野球に出る子が男子より多いと思います。そこは、私からも『生活から全部、野球に繋がってるんだからね』とは言い続けるようにしています」 新世界に突入して約3カ月。男女間のギャップは多々あるが、感心させられることのほうが多いと、松崎は頷く。 第一に、純粋に野球が好きなのだという。 「そこは間違いないです。男子って公立とか私立とか、野球をやる場所にこだわらなければどこででも続けられる環境ってあるじゃないですか。でも、女子は今でもそれが少ないわけです。この子たちだって小学校、中学校に上がるタイミングで野球を辞めるかどうか考えた子がほとんどだし、『高校では地元の高校でマネージャーをやろう』とか、それくらいの選択肢しかなかったわけですよ。 そこに聖光学院に女子野球部ができたということで集まってくれて。だからこの子たちの、野球が『好き』『楽しい』っていう気持ちを、絶対に消しちゃダメなんです」 キャプテンの水野心も、聖光学院に女子野球部ができたことでキャリアを継続すると決意した選手のひとりである。 会津若松市出身。若松三中では男子とともに野球部でプレーし、エースを務めたほどの実力がありながら、高校ではマネージャーをするのかなと、漠然と思い描いていた。 2歳年上の兄・裕次郎が聖光学院の野球部に所属していたこともあって憧れを抱いていたなか、女子にも野球部が誕生する僥倖に恵まれ、迷わず入学することを決めた。
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