危険な本塁クロスプレー禁止の新ルールで得点がアップする?!
ヤクルトは、過去に何度か危険なクロスプレーの犠牲にさらされる“被害者”になる場面があった。昨季も5月13日の阪神戦で、マット・マートンが、タッチアップから危険な本塁への突入を行い大騒動になった。西田明央捕手が、後方に飛ばされながらもボールを死守して得点を許さなかったが、両軍ベンチから選手が飛び出てあわや乱闘の騒ぎとなり、試合後、真中監督が猛抗議までした。新ルールでは、その危険は減ることになったが、逆に新たな対策を練る必要が出てきた。中村も「タッチをもっと早くするなど、キャンプ、オープン戦で準備をしておかねばならない」と言う。 真中監督も危険なクロスプレー禁止のルールでは得点力がアップすることを確認した。 「(新ルールだと)点数がとりやすく攻めやすくなるね。完全にアウトのタイミングでもスライディングでセーフになる場合が多い。条件は、どこも一緒。まあ、意識過剰にならないようにはしたいが、スライディングをうまく利用しなければならないし、ここから先、実戦の中でも練習を入れていきたい」 この日、ヤクルトの練習を視察した侍ジャパンの小久保監督は、「ヤクルトは強いなあという印象を持った」と語った。“トリプルスリー”の山田哲人(23)を筆頭に機動力も使え、昨季リーグトップの得点力を誇った真中監督にしてみれば、新ルールの追い風に乗って、さらに攻撃オプションを増やすチャンスが広がる。どのチームも条件は一緒だが、スライディングテクニックを早く会得したチームが有利になる。 おそらく今季は、どのチームも同じく無死、一塁三塁での「ゴロゴー」のサインが増え、タッチアップや、二塁走者の本塁突入のタイミングが微妙な場合には、「すべて回す」というような傾向が増えるのではないか。本塁上での激突という迫力シーンは見られなくなるが、逆に新ルールにより野球がスリリングにスピードアップするのかもしれない。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)