「RMK」や「スリー」の立役者、石橋寧が化粧品業界に提言 Vol.5(最終回) 「化粧品のサステナビリティ問題」
話が外れちゃったけれど、もし僕がプロデュースするとして、スキンケアだったら「官能的であること」。なんとも言えない心地いいテクスチャーと香りで、ずっと使い続けたいと思わせられるものですね。配合成分の効果はもちろん大事なんだけれど、それ以上に気持ちというか「キレイになれるかも」と感情に訴えかける。成分の効果はそれなりについてくればいい。11年の東日本大震災の時、被災地に「スリー」のメイクアップ商品を送るよう指示を出したんです。いろんなメーカーがハンドソープとかシャンプーとかで支援していたけれど、3日、4日経って落ち着いてくると、口紅をつけたくなってくるのが女心ですよね。手元にないだろうし店も開いていないし。
――:メイクセラピーという言葉もあるくらい、メイクアップはQOLの向上に役立つことが分かっています。
石橋:実現がかなり難しいんだけれど、「イトリン」でそのうちやりたいと密かに考えていたのが、天然由来成分比率の高いメイクアップ商品。山形のベニバナはまだ口紅の一部にしか使われていないんですよ。口紅やチーク、アイシャドウならいいものが作れるんじゃないかと思っていて。和服は古いものでもきちんと管理されていれば、今でも色鮮やかですよね。日本には高い染色技術があって、基本は植物色素でシルクを染めている。同じようにメイクアップ商品の色を再現できないかなあと。何歳になっても夢だけはあります(笑)。