「RMK」や「スリー」の立役者、石橋寧が化粧品業界に提言 Vol.5(最終回) 「化粧品のサステナビリティ問題」
――:15年に国連サミットでSDGsが採択されたのち、あらゆるコスメブランドが17のゴールに向かって邁進した結果、今やオーガニックコスメの存在意義が見えにくくなっています。
石橋:女性が化粧をする理由はなんなのか? それはやっぱり、美しくなりたいから。シミにもシワにも無縁の肌で美しく年を重ねていく。まずそれが化粧品に求める女性の心理ですよね。それが第一。自分の肌に合い、整っていけば一番いいわけで、それがケミカルなのかオーガニックなのかは次の段階。オーガニックのほうがイメージも含めて肌に優しいというのがあるけれど、でも全く効果がなかったら使わないですよね、前提はキレイになりたいわけだから。さらにその次に高価格か低価格か、という順番になる。所詮は化粧品ですから、それを使って自分がキレイになれるかどうかが第一優先。これは男性にも言えることで、まずはそこに応えてあげればいいと思うんです。これだけ再生医療やらを含めて技術が進歩していますから、より良いものはこれから先も出てくると思う。昼間に化粧品の通販番組が多いのは、それだけキレイになりたいというニーズが多いという証しですよね。
――:では新たなコスメブランドをプロデュースするとしたら、どうしますか?
石橋:最近注目しているブランドがあって、カネボウ化粧品の「センサイ(SENSAI)」がインバウンドも含めて新宿伊勢丹本店、阪急うめだ本店で異常値を叩き出していると百貨店のバイヤーさんから聞いたんですよ。日本の百貨店ではジェイアール名古屋タカシマヤを含めて3店舗でしか扱っていないと思うけれど、阪急うめだ本店では売り上げトップ3に入り、3店舗ですごく売り上げを伸ばしている、と。元々1980年代に欧州からスタートしたブランドだから、欧州と台湾・香港・中国などアジアの人は円安で爆買いしているだろうし、日本の顧客も少しずつ増えているようですね。外資系ブランドは徐々に値上げをして高価格になっている一方、日本のブランドは価格を変えないから、そういうのも相まって日本人の購入客が増えているというのはあるだろうけど、なぜ「センサイ」なのか。シルクは古くから外科手術の縫合糸に使用されているくらい生体と相性がいい素材だから、イメージも含めて「小石丸シルク」というワードが響いているのか、あるいはメイクアップもそろえているからなのか、要因が気になるところですね。