阪神退団の鳥谷敬は“ライバル”セ球団への移籍を希望
阪神を退団、他球団での現役続行を明言している鳥谷敬(38)がセ・リーグへの移籍を希望していることが24日、わかった。関係者の話で明らかになったもので、セ、パの野球の違いに戸惑うことなく力を発揮できる場所を求めると同時に古巣・阪神への意地の“恩返し”を見せたいとの狙いがある模様。内野手の補強をポイントとしている各球団のFA補強の動向が落ち着いてから鳥谷を巡る動きが本格化すると見られている。
不完全燃焼が現役続行理由
鳥谷は8月29日に球団から引退勧告を受けて事実上の戦力外を通告された。揚塩社長、谷本副社長、嶌村副本部長が同席して行われた、その会談は実は、一方的で無慈悲な勧告ではなく、懇切丁寧に経緯が説明されたものだったらしいが、鳥谷はユニホームを脱ぐことを拒否、他球団での現役続行の道を選んだ。 10月13日に東京ドームで行われたクライマックスシリーズ・ファイナルステージの巨人戦が、阪神での最後のプレーとなったが、試合後、「この先どうなるかわからないが、自分がやってきたことを信じて新しい野球人生を頑張ります」と改めて他球団に移籍し現役続行する決意を明らかにした。 関係者の話によると、鳥谷は原則として、セ、パ、どの球団でも話があれば、年俸などの条件などにこだわらず移籍する考えだというが、もしオファーがあるのであれば、同じセへの移籍を希望しているという。 ソフトバンクが巨人に4連勝した日本シリーズでも顕著となったが、セ、パでは、明らかに野球の質が違う。投手のレベルが格段とアップするパの野球に適応することに戸惑うより、すでに投手や戦力、スタジアムの特徴などを知り尽くしているセの球団の方が、スムーズに新しい環境に溶け込め自分の持つ力を発揮しやすいと考えてのものだという。 また今年は、ほとんどチャンスをもらえず引退勧告を突きつけられた阪神に対して意地の“恩返し”を果たしたいという気持ちもどこかにあるのだろう。 そもそも鳥谷が引退勧告を受け入れず現役続行を決めた理由のひとつに「不完全燃焼」という心情がある。今季の阪神は三塁に大山悠輔が固定され、新人の木浪聖也がショートで台頭したため、鳥谷の先発出場はわずか8試合に留まった。本来、代打のタイプではなく、4打席立って、9イニングを守る中で、投打のトータルプレーヤーとしてチーム貢献をしていくのが鳥谷のプレースタイルである。鳥谷にとって、そういう起用のないままユニホームを脱ぐことに対し納得がいかなかったのだ。 今季は74試合、打率.207、わずか4打点と、キャリア最低の不本意な数字しか残せなかったが、歴代2位の1939試合連続出場記録に通算2085安打を誇る鳥谷にとっては、“これは自分の本当の実力ではない”との自負があるのかもしれない。 今季限りで引退した巨人の阿部慎之助は「納得できた」と語ったが、チーム一の練習量を誇り、まだ攻守に体が動く鳥谷からしてみれば、このまま引退するには大きな悔いが残るのだろう。