阪神退団の鳥谷敬は“ライバル”セ球団への移籍を希望
では鳥谷のセ移籍は叶うのか。 鳥谷は、ショート、一昨年ゴールデングラブ賞を獲得したサード、そして2013年のWBCで適性を見せたセカンドと、内野は、どのポジションもこなせる。 セで内野を補強ポイントとしているのは、巨人、横浜DeNA、ヤクルトの3球団。巨人は日本シリーズでセカンドが弱点であることを露呈した。田中俊太を使ったが結果を出せず、途中出場の山本泰寛は手痛いミス。77試合にチャンスをもらい後半戦で伸びた若林晃弘もまだレギュラーを奪うには力不足。当初、「二塁・吉川尚輝」が原監督の構想だったが、4月に腰痛で戦列を離れていた。 実は、鳥谷が早大時代に原監督が直接動きドラフトの逆指名交渉を行ったという古いつながりもある。ただ原監督が日本シリーズという大舞台を若手に踏ませた理由や、阪神がライバル球団であることを考えると鳥谷獲得へ動くことは考え辛い。 横浜DeNAもセカンドがウイークポイント。今季はソト、柴田竜拓、石川雄洋、トライアウトから契約した中井大介らを使ったが固定できなかった。ショートの大和も打撃面では打率.237と低迷した。ドラフト1位で桐蔭学園のアスリート型のショートである森敬斗を単独指名したが、2、3年はかかる。その間を埋めるためにはベテランの力は必要で、しかも、筒香嘉智のポスティングによるメジャー移籍を容認したためチームのトータルの戦力バランスを整える意味でも鳥谷はうってつけの存在かもしれない。 またヤクルトも二塁は山田哲人で不動だが、秋季練習から取り組ませている村上宗隆の三塁の守備には不安が残る。ショートでは廣岡大志を育てたいのだろうが、今季は西浦直亨、奥村展征らを起用するなど、まだ1本立ちはできていない。ただヤクルトは大引啓次を戦力外にするなど世代交代を進める球団方針があり、38歳の鳥谷への興味は薄いのが実情のようだ。 広島も基本的に「生え抜き育成」の方針で外からの補強には消極的。ただFA権を取得した菊池涼介の動向次第では、ひょっとすれば、ひょっとするのかもしれない。 そう考えると、鳥谷が希望するセでは、横浜DeNAが最もマッチしそうだが、パにも鳥谷に興味を示しそうな球団はある。