待機児童も学童も…国家戦略特区を徹底活用「荒川区」は解消モデルになるか
来年4月から認可保育所に子供を預ける手続きが、各市町村で始まっています。待機児童問題が深刻化している東京都では、小池百合子知事が待機児童の解消を喫緊の課題として126億円の補正予算を組んでいます。 行政が待機児童解消の財源を増やしても、都心部では保育所を開設する用地が足りなかったり、保育園用地が確保できても保育士が不足するという問題があります。東京23区は地価が高く、容易に保育所用地が確保できません。どこの区も保育所の用地を捻出することに頭を悩ませているのです。
10年間で2000人定員増やしたが……待機児童少ない評判から転入者急増
そうした状況を打破すべく、政府は都市公園内にも保育所の設置を可能にする国家戦略特区を創設しました。従来、都市公園内には保育所を設置できませんでしたが、国家戦略特区では規制を緩和し、都市公園内にも保育所等を設置することが可能になったのです。各自治体では国家戦略特区を活用する動きが出てきています。渋谷区は代々木公園内に保育所を計画しています。代々木公園は敷地面積が約54万平方メートルを誇る、都内屈指の公園です。 渋谷区と同様に、都立公園内に保育所設置を進めているのが荒川区です。荒川区は南千住駅の東側に広がる都立汐入公園内に新たに保育所を開設することを発表しました。荒川区子育て支援部の担当者は、こう話します。 「大規模な再開発事業によって、汐入公園周辺は高層マンションが立ち並ぶエリアになりました。それに伴い周辺の人口は急増し、子育て世代も増加しています。そうした背景から、荒川区は汐入地区の保育所整備には力を入れてきました。例えば、神社の駐車場に保育所を開設したり、区立小学校の空き教室を保育室として活用するなど、10年間で区内保育所の定員を2000人も拡大しています」。 こうした保育所の整備によって、荒川区の待機児童数はいったん減少します。ところが、荒川区は待機児童が少ないという評判が広まり、近隣自治体から子育て世代がたくさん引っ越してくるという事態が起こったのです。再び、荒川区の待機児童数は急増してしまいます。待機児童数が増えてしまったことで、荒川区はさらなる保育所の開設を検討しました。しかし、荒川区では保育所を開設するスペースが限界に達していたのです。