待機児童も学童も…国家戦略特区を徹底活用「荒川区」は解消モデルになるか
周辺住民に配慮 保育所の屋上にオープンスペース確保
そこで政府が推進する国家戦略特区を活用し、2017年4月に新たに都立汐入公園内に保育所を開設することになったのです。保育所予定地となっている公園の一画は、ゲートボール場などとして使われています。今般、保育所の開設には強い反対が寄せられることも珍しくなくなっています。高齢者や地域住民の憩いの場を奪うような形で保育所を新たに開設するとなると、強烈な反対が起きることも予想されます。そうした心配はなかったのでしょうか? 「もともと汐入公園は広大な公園ですから、園庭で遊ぶ子供たちの声は問題にならないと考えています。また、保育所の屋上部分にオープンスペースを設けることにしました。これは公園の敷地を減らさず、憩いのスペースも確保する工夫です。こうした保育施設と住民の遊び場・憩いの場を両立させることで、周辺住民の理解も得られたと考えています」(同)。
他区に先んじ 学童にも国家戦略特区活用
荒川区のように国家戦略特区を活用して、公園内に保育所を開設するケースは今後も増えることが予想されます。荒川区が他区よりも一歩先んじている点は、保育所のみならず学童にも国家戦略特区を活用するところです。荒川区は2018年4月に学童を汐入公園内に開設する予定しています。 「今般、待機児童問題で保育所ばかりがクローズアップされますが、子供が増えれば当然ながら学童の問題も浮上してきます。そうした将来を見越し、荒川区は早急に学童の整備にも取り組んでいます。それらを踏まえ、保育所と同様に都立公園内に学童を整備することになったのです」(同)。 国家戦略特区を活用して都市公園内に学童を開設するのは、全国でも荒川区が初の試みです。待機児童や学童の整備は、少子化対策の起爆剤と言われます。荒川モデルが成功を収めれば、各地の自治体でも同様の取り組みが波及することでしょう。それだけに、荒川モデルには注目が集まっています。 小川裕夫=フリーランスライター