上司から休みの日に「新入社員のマニュアルを作っておいて」と言われました。これって非常識ですよね?
働いていると業務時間内にすべての仕事が終わらず、残業になったり仕事を持ち帰ったりする場合もあるでしょう。中には今回の事例のように、上司から休みの日に業務を言い渡されてしまうケースもあるかもしれません。 自宅などに仕事を持ち帰って作業をする「持ち帰り仕事」は、自分のプライベートな時間を削ってしまうだけでなく、上司からの指示でありその分の賃金が支払われなかった場合などは法律に抵触する可能性もあります。 今回は、上司から持ち帰り仕事を指示された場合違法になるのかや、持ち帰り仕事を避けるための対処法を紹介します。 ▼毎日「8時50分」から朝礼が! 定時は9時だけど「残業代」は請求できる?「義務」か判断するポイントとは?
「持ち帰り仕事」は違法となるケースがある
持ち帰り仕事は、違法となるケースと違法とならないケースがあります。違法とならないケースは、例えば従業員が自身の判断で仕事を持ち帰り自主的に業務を行った場合などが挙げられます。 しかし、従業員が上司の指示で仕事を持ち帰り業務を行ったケースにおいては、持ち帰り仕事をした時間も労働時間として扱われるため、もしもその分の賃金が支払われなかった場合などは違法にあたる可能性が高いです。 労働基準法第24条においては「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない」としています。 今回の事例のように、休みの日の持ち帰り仕事が上司からの指示であり、それに対して賃金が支払われなかった場合は違法となる可能性が高いでしょう。
休みの日に持ち帰り仕事をした場合、本来どれくらいの給料が発生する?
前述の通り、上司からの指示による持ち帰り仕事の場合はその分の賃金が支払われますが、もしも自主的に持ち帰り仕事をした場合、本来であればどれくらいの給料が発生するのでしょうか。 支払われる給与の金額は業種によってさまざまですが、今回は厚生労働省の「令和3年賃金構造基本統計調査による職種別平均賃金(時給換算)」に基づき、全産業の平均時給の基準値である1265円で計算してみましょう。 ■土曜日だけ持ち帰り仕事をした場合 まずは土日休みの企業に所属する方が土曜日のみ持ち帰り仕事を8時間した場合を想定します。本来発生するはずだった賃金は、1265(円)×8(時間)=1万120円です。 なお、この金額は休日出勤をはじめとした各種手当がついていない状態なので、実際にはより高い金額になるでしょう。 ■土日ともに持ち帰り仕事をした場合 土日両日とも持ち帰り仕事を8時間ずつした場合では、本来発生するはずだった賃金は1265(円)×8(時間)×2(日)=2万240円です。 1日のみ仕事をした場合、2日とも仕事した場合いずれにおいても、無償で持ち帰り仕事をしてしまうと非常に大きな金額を受け取らずに働いているといえます。