静かに変わり始めた「都立公園」……公園の基準緩和、民間活力の導入
NPOや企業と連携し公園を有効活用
パークマネジメントとは、公園を公有財産として見なし、NPOや企業などと連携しなが積極的に活用していこうという考え方です。策定されたマスタープランに基づいて、都は公園を活性化させるべく、民間活力を導入していきました。 「公」園にも関わらず、民間活力を導入すると聞くと、不思議に思う人もいるかもしれません。公園における民間活力の導入とは、主に指定管理者制度やPFI(社会資本整備を民間主導でおこなう手法)を導入することをいいます。いま、都立公園の多くは指定管理者制度によって、財団法人や民間事業者に委託されるようになっています。 「公園内にオープンカフェの設置やウエディングが可能なホールを整備したことは民間活力導入の一例といえます。恩賜上野動物園ではスポンサーをつけることで動物解説板の更新や整備をすることができました。また、これまでは都立公園の占用許可は規制が厳しくて大規模なコンサートやイベントを開催することが難しかったのですが、民間委託とともに規制を緩和。それによって、葛西臨海公園で『AKB48 東京 秋祭り』、夢の島公園で『情熱大陸コンサート』といったイベントが開催されるようになったのです。これらもパークマネジメントを導入したことで公園が活用された一例といえるでしょう」(同)
「お金を稼げるコンテンツ」になった公園
こうした民間活力の導入によって、公園は「お金を稼げるコンテンツ」になったと言えます。公園を活用することで公園の整備費や維持費を捻出することにつながり、それらは公園を清潔に保ったり、照明の設置費用にも充てられます。パークマネジメントで生み出されたお金は、都民に還元されているのです。 その一方で、公園は防災や緑化、都民の健康増進、地域コミュニティの形成といった機能も果たしています。公共スペースですから、こうした公的使命を疎かにすることはできません。お金を稼ぐことばかりが先行すると、公的使命がないがしろにされてしまうことはないのでしょうか?