静かに変わり始めた「都立公園」……公園の基準緩和、民間活力の導入
東京都全域で待機児童が深刻な行政課題になっています。安倍政権は「国家戦略特区」の一環で、公園内に保育施設を整備できるように「都市公園法」の規制を緩和します。この規制緩和は全国で適用されるわけではありませんが、東京都は手始めに、品川区や世田谷区、荒川区などの都立公園内に保育所を開設し、待機児童問題の解消を目指していきます。これらがうまく機能すれば、今後は全国にも同様の動きが広がることになるでしょう。 これは直近の一例ですが、いま公共空間である公園は大きく変貌しています。公共財産である公園を有効活用しようという動きが強まっているのです。公園を取り巻く環境の変化を探ってみました。
「ブランコ・すべり台・砂場」義務付け廃止
家や職場の周辺にはたくさんの公園があります。昼休みにお弁当を広げる人たちや仕事が終わった後にランニングなどでリフレッシュする人、学校帰りに友達と談笑する中高生など、公園は老若男女を問わずたくさんの人たちが利用しています。 東京都内には77の都立公園が存在します。また、近所にある街区公園・地区公園などは市区町村が管轄しています。 これらの公園は、都市公園法で管理や運営が定められています。これまでの都市公園法では「ブランコ・すべり台・砂場」の3点セットがそろっていなければ公園と認定されませんでした。しかし、1993(平成5)年に都市公園法が改正されたことで基準が緩和されました。その結果、多種多様の公園が生まれることにつながりました。公園の姿が変貌する中、近年は公園を有効活用しようという機運が高まっています。 「都では2004年に公園を有効活用するべく、『パークマネジメントマスタープラン』を策定しました。その背景には、社会情勢の変化があります。公園を取り巻く環境が変わっている中で、行政としても住民ニーズに合わせて公園を整備する必要がありました。その一方で、行政は財政的な問題にも直面していました。そのため、都は従来の行政手法から転換し、都民・NPO・企業と連携することで公園の活性化を目指したのです」(東京都建設局公園緑地部)