相手が嫌がる4番の姿…追い込まれても当てにいかないソフトバンク山川 4打席立ち1球たりともストライク見逃さず
◇渋谷真コラム・龍の背に乗って 日本シリーズ特別編 ◇27日 SMBC日本シリーズ2024第2戦 DeNA3―6ソフトバンク(横浜) ソフトバンクの山川が自身初の「シリーズどすこい」も含めた3安打でチームを連勝に導いた。4打席立ち、1球たりともストライクを見逃さなかった。10度バットを振り、空振りが5。ファウルが2。つまり、前に飛べばヒットだったということだ。 空振り率何と5割。だけど、ここぞの3打点。これが山川という打者の姿だった。シーズンではパ・リーグ最多の423空振り。全スイングに占める割合は34・1%である。球界で上回るのはヤクルト・村上(435空振り、37・3%)だけ。彼らは三振王(山川158、村上180)だが、ひと振りで試合を動かす力も持っている。1ボール2ストライクから、大貫のカーブを左翼席に運んだ先制2ランはその典型かもしれない。山川はこう振り返っている。 「追い込まれていたんですが、ツーアウト一塁ということで、しっかり狙っていきました」 球種も含め、長打での得点を狙っていたということだ。今季の山川の2ストライク後の打率は1割4分9厘。これは規定打席到達者23人中、22位だ。同じく村上の1割4分7厘はセ・リーグ最下位(24人)。だけど、山川11本、村上10本と両リーグで4人しかいない2桁本塁打も打っている。空振りがいい、三振がいいとは言わないが、どんなに追い込もうとも投手は彼らを恐れている。最後のストライクを取るまで油断はできないのだ。 中日にも彼らに迫る大砲はいる。村上に次ぐ375空振り(33・5%)、159三振の細川だ。しかも、ブレークした昨季はリーグワースト(1割4分9厘)だった2ストライク後の打率を今季は2割1分3厘まで改善した上で、9本塁打、リーグ2位の28打点を挙げている。 得点差やイニング、走者の有無など状況にもよるが、追い込まれてから当てにいく4番では試合を動かせない。相手が恐れ、嫌がるのは何なのか。それを改めて教えてくれた山川の活躍だった。
中日スポーツ