Cookie 以降の世界。重視すべきはAI、測定戦略、リテールメディアのうち、どれ?
データの機能や測定の拡大
多くのエージェンシーにとって、Cookieからの移行の主要部分は、適切なデータパートナーとツールを確保することでもある。ピュブリシス・ヘルス・メディア(Publicis Health Media)の最高デジタル責任者であるレイ・ロスティ氏が言及するように、この戦略は「ソリューションに関しては1回で確実に仕留められる銀の弾丸ではなく、複数に分かれて効果を出す銀の散弾銃を探している」という感じだ。 ピュブリシス・ヘルス・メディアは、新しいパートナーの検証のために、データの情報提供依頼書(Request For Information:RFI)を作成し、パートナーの各データセットをテストした。「これによって、我々は彼らのアクティベーションにおけるオーディエンスの重複を監視できる」とロスティ氏は説明する。 Cookie廃止に伴うもうひとつの課題は、データのスケールと測定だ。そのため、各エージェンシーがテストを続けるなかで、ベンチマークや測定基準を時間をかけて再設定する必要があるだろう。「サードパーティCookieの数は人の数よりも多いため、メディアの規模、平均CPM、フリークエンシーに関する過去のベンチマークを参照する方法は、おそらく一新されるだろう」とロスティ氏は言う。
MMMとMTAのハイブリットアプローチ
測定に関して、エージェンシーのデータ戦略にはサードパーティCookieに依存しないデータプロバイダーの拡充も含まれている。これにより、より多くのパートナーに類似したモデルを構築することができるだろう。これは、ファーストパーティデータを使ってデータパートナーシップを拡大し、規模を拡大するために大手エージェンシーも行っていることであり、「独立系エージェンシーではエクスペリアン(Experian)やトランスユニオン(TransUnion)との既存のパートナーシップがある」と、クロスメディア(Crossmedia)のマネージングパートナー、リー・ビール氏は説明する。 また、同氏は「これらの企業は、独立系エージェンシーにも同じ機能を提供している。それにより類似モデルを作成し、ファーストパーティデータから時計回りに、透明性をもって展開するためのインサイトを作成することができる。エージェンシーとして、明確にプライバシーを管理された方法でクライアントのファーストパーティデータを利用し、作業できることは力強い」と話す。 これはアジャイルインパクトモデリング(AIM)と呼ばれるもので、マーケティングミックスモデリング(MMM)とマルチタッチアトリビューション(MTA)のハイブリッドアプローチだ。ビール氏によると、AIMは集計された売上データを使って「両方の長所」を提供するため、同社は昨年からクライアントにAIMを使用しているという。 「クロスメディアはこのあいだに、ビジネスアナリストへの投資、データや技術者の雇用、チャネル別戦略の見直しなど、旧来型の広告戦略にも回帰している」と、ビール氏は付け加える。