円が157円台後半、米指標発表後に下げ加速-介入警戒ラインも割る
(ブルームバーグ): 26日の外国為替市場で円相場は対ドルで約34年ぶりの1ドル=157円台後半に下落した。日本銀行が金融政策の現状維持を決定したことを受けて円安が進行。植田和男総裁の定例会見にも目新しい内容はなかった上、米経済指標の発表を受けて円売りが一段と強まっている。市場では政府・日銀による円買い介入への警戒感が高まっている。
ニューヨーク時間帯に入り、円は対ドルで一時1.4%安の157円79銭まで下落。神田真人財務官の過去の発言から介入が意識される水準も割り込んだ。植田総裁の会見後に円は急速に買い戻され、154円99銭を付ける場面もあったが、一時的な反発で終わった。
サクソ・キャピタル・マーケッツの為替戦略責任者チャル・チャナナ氏は「日本銀行は、市場で最もハト派的な期待さえも驚かすハト派的サプライズが可能であることをまたも示した」と指摘。「円安を止めるための介入を待つ状態に逆戻りだ。しかし、協調した動きでない限り、タカ派的な政策メッセージの支援がなければ、いかなる介入も無駄だろう」と語った。
神田財務官の発言を分析したところによると、157円60銭が注目すべき水準だった。財務省は3月28日から4月25日までの介入実績を30日に公表する。ただ、26日に介入したかどうかのデータ発表は来月31日まで待たなければならない。
この日発表された米個人消費支出(PCE)コア価格指数は市場予想に一致し、根強いインフレ圧力が米国の利下げを遅らせるとの懸念を和らげたが、それでも円は下げを拡大した。
また、4月の米ミシガン大学消費者マインド指数(確報値)は77.2と、前月の79.4から低下した。速報値は77.9。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は77.9だった。1年先のインフレ期待は3.2%に上昇し、昨年11月以来の高水準となった。
日銀の政策発表後に円が安値更新へと動いたのは「正当化されるもの」であり、為替介入は「成功する見込みがない」と、ドイツ銀行の為替調査責任者ジョージ・サラベロス氏はリポートで指摘。