どうするセのDH起用 交流戦のセ・パの格差をどう克服するか
12年目を迎えるプロ野球のセ、パ交流戦が、いよいよ明日、31日から幕を開ける。昨年と同じく隔年でセ、パの本拠地を入れ替える1カード3連戦の18試合制で行われ、順調に運べば6月19日に日程が終了する。昨年は最高勝率がソフトバンクで、日ハム、西武、楽天、ロッテと上位をパの5球団が独占。セで唯一勝ち越したのは10勝8敗の阪神だけで、パが61勝44敗3分けと大きく勝ち越した。その影響から、セは首位だった横浜DeNAが貯金を使い果たし、全チーム貯金なしの異常事態が発生するなど混セが演出されることになった。 セ、パのそれぞれのリーグ成績は相対的なものなので単純比較するのはナンセンスだが、セの平均打率は.255、平均本塁打41.3本、平均得点211.5、平均防御率3.70に比べて、パの平均打率は.259、平均本塁打36、7、平均得点211.3、平均防御率3.92と、そう大差はない。 今年は、セ、パの格差は埋まるのか。埋めるとすればポイントはどこになるのか。 元中日の“レジェンド”山本昌氏は、セのDH起用がポイントだと見ている。 「横浜DeNAが投打のバランスが整ってきたが、セ・リーグは、どこもウイークポイントを抱えていて苦しい。交流戦では、またセが苦労することになるだろう。パ・リーグでは、スーパーエースと呼べるのは日ハムの大谷君くらいしかいないことと、楽天のチーム状態が悪いため、昨年ほどのセ、パの大きな差はつかないかもしれないが、パはどのチームも打線がいいのでセが勝ち越すの難しいと思う。特にソフトバンク、ロッテ、西武の打線も怖い。投げる方からすれば嫌な打線だ。 一方、セのチームを見ると、どのチームにも、これと言ったDH要員がいない。昨年の日本シリーズでヤクルトがヤフオクの本拠地ゲームではからずも暴露してしまったが、引退してチームからいなくなるユウイチをDHで使わねばならないほどの状況だった。おそらく代打の一番手か、守りに不安のある外国人選手をDHに回すことになるのだろうが、セはどこも戦力がカツカツなので、DHに適したバッターが見当たらないのだ。 しかも、その選手を使うことでさらに層が薄くなり、後半に勝負手を失う。これがセ、パの格差を生んでいる原因のひとつ。DHに誰をどう使うか。セがうまく工夫しなければ、セ、パのDHの格差が、今年もまた交流戦の勝敗を分けることになってしまうのかもしれない」 昨年から交流戦の試合方式が変更されたため、セのDH起用試合は9試合に減ったが、それでもDHの起用法が大きな影響を与えることは間違いない。 山本昌氏が言うように、セのDH起用は、守りに不安のある選手、もしくは、代打の1番手の繰り上げがほとんどだ。パのようにDHの野球が確立されていない。逆にパは、DHが使えないセの本拠地ゲームでは、守りに目をつぶればいいだけの話で、攻撃力そのものが大きく弱体化することはない。 日ハムの大谷翔平(21)のようにリアル二刀流で使えれば、セの本拠地で試合をしたほうが、打線はパワーアップする。ちなみに、大谷の交流戦の登板予定は、5日の東京ドームでの巨人戦。もちろん、避けたくても避けられないリアル二刀流となる。