AIモデルを安全な「部屋」で訓練可能にする米新興企業Anjuna、36億円調達
コンフィデンシャルコンピューティングのもう1つの利点
ヨゲブとミカレフスキーは、この問題を解決することが、企業が高度なAIモデルを利用する上での鍵になると確信した。たとえば、ヘルスケア企業がAI企業に病気の検出モデルのトレーニングを依頼したいが、その企業と患者のデータを共有したくない場合に、Anjunaのクリーンルームは仮想ルームの中でモデルを安全にトレーニングすることを可能にする。 データの保護は、簡単に聞こえるが、実際にはそうではない。コンフィデンシャルコンピューティングは従来、ハードウェアに焦点を当てていたため、必要な暗号化を備えたソフトウェアを構築するにはシステムスタックの深いレベルで作業を行う必要がある。つまり、Anjunaの開発者は、アプリケーションレベルのプログラミングだけでなく、基盤となるシステムのインフラについてもより深い知識を持つ必要がある。「私たちは、ほとんどOS会社のようなものなのです」とヨゲブは語った。 Bedrock SecurityとAnjunaの両方の技術顧問を務めるウェイン・デューソは、フォーブスに対し、「Anjunaが市場での競争力を維持できるのは、高いレベルで作業を行い、複数の種類のハードウェアと互換性を持たせているからだ」と語った。 エヌビディアのセキュリティマーケティングディレクターのローラ・マルティネスは、コンフィデンシャルコンピューティングのもう1つの利点は、企業がコラボレーションを行う場合に、機密データを失うことを心配せずに済むことだと語った。 「Anjunaのソリューションは、すでにヘルスケアや金融サービス分野における企業のコラボレーションの在り方を変えている。私は、近い将来にすべてがコンフィデンシャルコンピューティングで行われることを望んでいる」と彼女は述べている。 ヨゲブは今後、この機能をより広い市場に提供していく計画だと述べている。「コンフィデンシャルコンピューティングは、次の大きな推進力になるでしょう」と彼は語った。
Kirk Ogunrinde