新聞の電子版・スマホサービス、全国紙5紙の特徴は?
一般的にインターネット上のニュースは無料で読めるが、新聞社各社は電子版・スマートフォンでのサービスを充実させるようになってきた。全国紙5紙の動きをみると、無料だけではなく有料版でも提供を見られるようになってきた。展開するサービスは、新聞各社ともそれぞれ特徴があり、よいところ、悪いところもはっきりとしてきた。各社のサービスを比較してみよう。
一歩先ゆく日経
電子版での展開は日本経済新聞が一歩先をゆく。2010年3月に「日本経済新聞電子版」はスタートした。現在の有料会員数は約48万、無料登録会員をふくむ電子版会員数は約317万と、日本経済新聞社はいう。電子版の創刊により、同年の新聞協会賞を受賞している。 「日本経済新聞電子版」の特徴は記事の多さと内容の深さだ。新聞の紙面よりもはるかに多い記事を電子版に掲載し、記事の内容も、紙の新聞よりも深掘りして書いてある。 その記事を読者に提供しているのがスマートフォンのアプリだ。きびきびした動きはストレスを感じさせない。紙面ビューアのアプリも最近リニューアルした。これまでは朝刊では「朝刊」(最終版)の地方面では「東京・首都圏経済」を表示していたが、他の地域を表示することも選べるようになった。もちろん、いままで通り各地域の地方面も読める。 また、企業人事に異動があった際にはメールでお知らせする、という機能もある。 ビジネスパーソンに向けて情報を発信し、それに合わせた機能を提供していることで、同紙の電子版は成功している。
追いかける朝日
それを追うのが「朝日新聞デジタル」だ。2011年5月に開始した朝日新聞デジタルは、会員数280万人、有料会員は28万人だと朝日新聞社は述べる。朝日新聞デジタルは、何をめざすのか。「近年、お客様の閲覧環境はパソコンだけではなくスマートフォンやタブレットなど多様化していますが、使いやすい、分かりやすい『朝日新聞デジタル』を目指しております」という。 たしかに、朝日新聞デジタルは使いやすい。他の新聞のデジタル版では紙面ビューアとニュースアプリが別々だが、朝日新聞デジタルでは一体となっている。紙面ビューアでは各地の地方面を読むこともできる。日本経済新聞電子版の地方面は地域経済の話が中心で、しかも県よりも大きい「地方」が対象となっている。だが朝日新聞デジタルは各都道府県、地域によってはそれよりも小さい地域の各面を読むことができる。かつては全部の地方版を掲載した紙の新聞を高い値段で販売していたが、いまではそれと同等の機能を格安で手に入れることができる。 また有料サービスについては、新聞を購読していない人のための「シンプルコース」もスタートした。月額980円で月に300本まで読めるというものだ。 日本経済新聞電子版も朝日新聞デジタルも、有料である。単独読者だけのコースもあるが、メインは紙の新聞と併読するコース。どちらも新聞購読料にプラス月に1,000円だ。なお、朝日新聞デジタルを長く購読していると、6ヶ月縛りで月に500円となる「キャンペーン・ダブルコース」の案内がくる。