新聞の電子版・スマホサービス、全国紙5紙の特徴は?
読者と接しようとする毎日
毎日新聞が電子版サービス「愛読者セット」を開始したのは2013年12月だ。「読者から信頼される情報発信をさらに努め、ネットの世界でも『毎日ジャーナリズム』の信頼性を図っていきます」と高い志を掲げる。 「読者の多様なニーズに対応し、読者との関係性の強化を主眼にコンテンツ、サービスとも追加や強化を行っていく方針です」とする毎日新聞は、プラス500円の「愛読者プレミア会員」向けに健康相談サービスを行っている。「『デジタル毎日』では経済コンテンツと医療コンテンツに力を入れていることもあり、優待サービスの中に健康相談、病院検索機能も盛り込みました」と毎日新聞はいう。 たしかに、紙の新聞の読者は高齢化していることも事実だ。その層には、上乗せしても必要なサービスだろう。 毎日新聞のデジタルサービスの基本「愛読者セット」には追加料金を設けていない。「デジタルは急速に普及しています。このため、本誌読者の利便性向上と商品価値を高めるため、毎日新聞本紙の価格は『紙とデジタルをセット』にしました」という。だから、紙の購読料だけで、デジタルは登録すれば読めてしまうのだ。プラス500円の「愛読者プレミア会員」になると、健康相談だけではなく、週刊誌『サンデー毎日』や同紙と提携関係にある『ウォール・ストリート・ジャーナル』が読める。 「愛読者セット」「愛読者プレミア会員」、その他デジタルサービスをあわせて会員数は70万人となる。
無料の産経
産経新聞のスマートフォンアプリといえば「紙面が無料で読める」という印象が強い。iPhoneは2008年12月、Androidは2011年11月にこのサービスを開始した。約750万ダウンロード。 産経新聞の無料配信は続くのか。「サービス開始当初から無料閲覧機関を『当分の間』とお答えして参りました。ユーザーの動向を踏まえつつ、有料化の可能性は常に検討を重ねており、可能と判断すれば有料化する考えに変わりはありません」とデジタル部門・産経デジタルは述べている。つまり、紙面を無料で読めるアプリや、速報ニュースのアプリも、有料化の可能性があるということだ。 ただし、産経デジタルの提供する速報ニュースのアプリには、欠点がある。速報でないニュースでも、読ませたい記事ならばプッシュ通知する。その中には、産経新聞の論調を好まない人には目をそむけたくなるような内容のものも多い。韓国や中国に対する批判記事、民進党への批判記事。ときには、阿比留瑠比・論説委員兼政治部編集委員のコラム配信がプッシュ通知されることもある。逆に産経新聞のアプリ・スマートフォンサービスは、有料化してもいいのではないか。無料であることでこういった論説や記事を広めやすいということもあるのではと考える。「編集に関することにはお答えできません」と産経新聞社広報部はいう。しかしここが、産経新聞のニュースアプリとして重要なところではないか。