前半２４分、２点目のゴールを決めて喜ぶ阪南大高ＦＷ硲（カメラ・宮崎　亮太）

◆第１０３回全国高校サッカー選手権　▽２回戦　阪南大高（大阪）６ー０新潟明訓（３１日・ＮＡＣＫ５スタジアム大宮） 　２回戦１６試合が行われ、３大会ぶり３度目の出場となった阪南大高（大阪）が、ＦＷ硲（はざま）冬真（３年）の２得点１アシストなどで大量６点を奪い、前回出場に続くベスト１６入りを果たした。３回戦は２日に行われる。 　＊　＊　＊　＊　＊　＊　＊ 　覚醒したエースが、全国の舞台でも大仕事をやってのけた。前半９分。左サイドでパスを受けた硲は、そのまま縦に仕掛けて左足を振り抜いた。ニアサイド上を抜く鮮やかなゴールで先制すると、圧巻は同２４分だ。味方のクリアボールを自陣から猛追し、ハーフウェーラインをやや越えた左サイドで奪取。自慢の快足で相手ＤＦを置き去りにしてゴール前へ駆け抜け、そのまま２点目のゴールをねじ込んだ。 　大阪大会決勝・履正社戦（５〇０）での２得点１アシストに続き、大舞台での勝負強さを発揮。「僕にボールを送ってくれる選手がそろっていたので、いつも通りやるだけでした」と謙虚に語る背景には、屈辱を味わった夏の記憶がある。インターハイ予選は大阪大会決勝で退場し、せっかく出場を果たした全国大会はベンチ外。「悔しくて自分を磨き直した」。ヘディングなど様々なゴールパターンを磨き、チームの信頼を取り戻したからこそ今がある。 　Ｇ大阪門真ジュニアユース（中学年代）ではユース（高校年代）への昇格を逃し、地元の阪南大高へ進んだ。週１度のパーソナルトレーニングで走力を磨き、５０メートル走のタイムは中学３年から０秒５も縮めて６秒フラットに。似たプレースタイルのフランス代表ＦＷエムバペを参考に磨き上げた。「自信があります」というスピードで、チームを引っ張る存在へと成長した。 　阪南大高では、２１年度大会に出場したＦＷ鈴木章斗（２１＝湘南）が７得点で得点王に輝いた。今季Ｊ１でも１０ゴールを奪った先輩は、目指すべき高み。同じ得点王へ向け、「鈴木章斗さんが７点取っているので、それを超える８点取りたい」とノルマを設定した。３回戦で敗退した鈴木らを超える上位進出を果たせば、おのずとその目標に近づく。（金川　誉） 　◆硲　冬真（はざま・とうま）２００６年１２月２８日、大阪・堺市生まれ。１８歳。Ｇ大阪門真ジュニアユースを経て阪南大高へ。目標とする選手は日本代表ＦＷ上田綾世（オランダ１部フェイエノールト）、ＦＷ福田師王（ドイツ１部ボルシアＭＧ）。１８０センチ、６９キロ。右利き。 　◆阪南大高（大阪・松原市）１９３９年、大鉄工学校として創立された私立校。大鉄高校への改称を経て、８６年に阪南大学高校となった。サッカー部は２１年度の１６強が最高成績。硬式野球部は大鉄時代に春５度（準優勝１回）、夏２度の甲子園出場がある古豪で、ＮＰＢ最多１０６５盗塁の福本豊氏（スポーツ報知評論家）、通算２４５２安打の土井正博氏がＯＢ。