『おっさんずラブ』『きのう何食べた?』…Z世代では最上位の人気カテゴリに? BLの歴史を紐解く
多様性を「個性の一つ」として自然に受け止めているZ世代
かつては一部の層の中で人気だった「BL(ボーイズラブ)」。 しかし、『おっさんずラブ』(テレビ朝日系)シリーズや『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい(通称チェリまほ)』(テレビ東京)、『きのう何食べた?』(テレビ東京系)シリーズなどのメディアミックス作品のヒットを機に、広義での「BL」は幅広く一般層に浸透した。さらに今では少年漫画や少女漫画、女性向け漫画などと同等の1ジャンルになっているとも聞く。 【画像】超美形…! タイ発BLで世界を圧巻のふたり…&新たな扉が…「BL漫画お勧めリスト」 特にZ世代をはじめとした若い世代にはそうしたジャンルの境目すらなくなっているというが、いったいどのような楽しみ方をされているのか。 BL漫画最前線について、年間2000冊の漫画を読む、総合電子書籍ストア「ブックライブ」の「書店員すず木」(以下 すず木)さんに聞いた。 「最近は少女漫画や女性向けの漫画、恋愛漫画の延長として、BL漫画を楽しむ方が多いと思います。 そもそも少女マンガでは、“溺愛系”作品や“あまあま”の王道系作品が人気ですが、BL漫画の人気作にも同様の傾向が見られます。 対等な関係で、お互いに好きだけど、なかなか言い出せない、少女漫画でいう“ジレキュン”と“溺愛”がまさに王道で、『おっさんずラブ』などもそこにあたりますよね。好きな相手をとことん甘やかすのが受け入れられている印象はあります」(書店員すず木さん・以下同) 若い世代にとっては、LGBTQなどの多様性を個性の一つとして自然に受け止めている傾向が見られるのだと、すず木さんは分析する。 「例えば’90年代とかのBL作品は、もっと虐げられる状況で、いわゆる攻めと受けでいうと、力の強い側が弱い立場の人を無理やり力ずくでどうにかするみたいな作品が多かったんですね。 でも、近年はそういう関係性のものが減ってきまして、対等な関係で恋愛を描く。男性同士も男女の恋愛と変わらないとらえ方をしているので、 障害ではなくなってきているように思います」 また、一対一の関係性になってきているのも特徴だと言う。 「一昔前は、ヒーローの男性との間に第三者がいて、取り合う構図にときめきがある、好敵手がいる恋愛漫画が多かったんですけど、昨今の流行りですと、そういうライバルも登場しない。 最初からメインの2人を中心にして描いて、付き合うところがスタートみたいな話が増えました。世の中の流れ的に、付き合って終わりじゃないよねということが当たり前になってきていることが大きいかと思います。 付き合うって、そんな綺麗事じゃないよね、それよりもそこからどう人生を歩むかが大事、関係性を築いた先の深い人間関係をもっとちゃんと見たいというニーズがあるのだと感じます」 登場人物のキャラクター像にも変化があるそうだ。