『おっさんずラブ』『きのう何食べた?』…Z世代では最上位の人気カテゴリに? BLの歴史を紐解く
「BLに限らないですが、ステレオタイプなキャラクターは減ってきていて、共感性を大事にしているキャラクターが多いこと。 突き抜けたカリスマ的なキャラクターより、どこにでもいそうな等身大で、強く見えても、心に悩みを抱えていたり、自分に自信がなかったりして、それを乗り越えようとして頑張っているキャラクターが主人公というケースがBLにも多いです」 ◆BLに革命をもたらした「チェリまほ」 ちなみに、BLに革命をもたらしたのが、「チェリまほ」だ。実際、「チェリまほ」以前と以降を比較すると、ブックライブの25歳以下の女性のランキングでは、’20年~’21年を境に、上位を占めていた少年漫画、少女漫画の割合が減り、代わりに女性漫画やBL漫画が上位に入るようになったという。 「コロナ禍で、電子書籍のユーザーさんに従来の女性漫画をよく読む女性層が増えたことに加え、『チェリまほ』ブームも相まってライトなBLファンが一気に増えたのだと思います。 ’19年では25歳以下の女性のランキング10位内にBLが入ってくることはあまりなかったんですが、’21年になると9位に『抱かれたい男1位に脅されています。』(桜日梯子)などが入っているなど、大きくシェアを伸ばしています」 ◆25歳以下・男性の購買は、3年間で2.3倍に! また、BL漫画の購入層は女性が多いが、ブックライブで25歳以下男性の購入ジャンルの売り上げ推移を見ると、BL漫画を買っている25歳以下男性が、’19年から’22年に比べて230%に伸びているというデータもある。これはまさしく「チェリまほ」が買われたタイミングだ。 BL漫画の特徴の一つに、タイトルがやたらと長いことも挙げられる。これはなぜなのか。 「普通の作品ではネタバレがすごく嫌がられる傾向がありますが、BLの場合は逆で、どういう系統の作品か、例えばあまあまなのか、俺様系なのか、設定がどうなのかを気にされることが多く、どっちが攻めでどっちが受けなのかまで明確に把握したいんですね」 BLファンは身近な人間関係でも、なんなら無機物すらも、自身の想像力を駆使して自分なりに「攻めと受け」を考え、勝手に楽しむ能力が高いと、BL好きの知人友人からはよく熱弁を振るわれる。にもかかわらず、最初から設定を把握したいものなのか。 「BLファンの方には、こっちが攻めで、こっちが受けだろうという読み、こだわりが強い方が多いので、読んでいく中で自分の思っている通りの受けと攻めであってほしい、期待通りかどうかを気にされる方が多いんですね。 そこが自分の視点やこだわりと合致しないと、読んでいてもすんなり楽しめないところもあるのだと思います。 その点、電子書籍の場合は、紹介文もついていますし、ブックライブではタグ機能がありまして、どっちが受け、どっちが攻めみたいなものを書いてタグ付けしているので、お好みの作品を探しやすいようになっています」