『おっさんずラブ』『きのう何食べた?』…Z世代では最上位の人気カテゴリに? BLの歴史を紐解く
実際、ブックライブで検索してみると、BLには「あまあま」「同級生」「リーマン」「黒髪攻め」「学生」「ワンコ攻め」「スーツ」「男前攻め」「年下攻め」「俺様・傲慢攻め」「健気攻め」「ヘタレ攻め」「ツンデレ受け」「ヤンキー受け」「誘い受け」など、多種多様なタグがあることがわかる。 ちなみに、「ワンコ男子は王道で、基本的に受けが多い」「チェリまほのタグは“男前攻め”“あまあま”“スーツ”」と言う。 「コアな方ほどこだわりが強いですが、一つの人気ジャンルに“メガネ攻め”と“メガネ受け”もあります。 それぞれのタグで見ると、’24年2月現在、ブックライブで配信中のBL作品のうち、メガネ攻めの作品は約850件、メガネ受けの作品が約2050件登録されています。 同じメガネでも、メガネは受けの方が攻めに比べて、より需要が高いということになります」 自分の好みの作品を探すには、サイトでタグのキーワードを入力するのも一つの方法。また、読んでみて面白かった場合は、その作品についているタグをたどれば、同じ傾向の作品を読むことができる。 「たまたま読んで面白かったのがメガネ受けだったから、もっとメガネ受けを読みたいと思ったら、それをたどるかたちですね」 ちなみに、電子書籍でBLを楽しむファン層に、いかにタグが重要視されているかがわかる、こんなエピソードもある。 「タグ付けの属性は弊社オリジナルで調べてつけているんですが、たまにそれが違っているというお問い合わせをいただくこともあるんですね。 例えば『ツンデレ受けって書いてあったけど、別にツンデレ受けじゃない』みたいなものですが、実際には違和感があっても、それを飲み込んで問い合わせなどされないユーザーさんのほうが多いと思いますので、相当に強いこだわりがあるのだと思います。 弊社ではそうしたご指摘をいただいたら確認し、違っていた場合には修正あるいは他のタグをプラスしています」 ◆「ヒューマンドラマ」として… さらに、BL漫画の人気傾向も時代とともに変化しているそうだ。 「もともとBL漫画は耽美な作品が人気でしたが、’08年に『純情ロマンチカ』(中村春菊)がアニメ化されて人気となったことを機に、可愛い受けと、かっこいいけどちょっとコミカルな攻めが人気となり、作風としてはコミカルなものが人気になってきました。 と同時に、絵柄的には繊細で線の細い耽美系よりも男性的で筋肉質なキャラクターのほうが人気になってきました。 ちなみに、今売れているBL漫画は『コワモテの隣人がΩだった時の対処法』(ニクヤ乾)という作品で、パッと見で強そうな男性が受けという、ギャップ萌えもあるかと思います」 また、『きのう何食べた?』などに象徴されるように、設定としては男性同士の恋愛であっても、ヒューマンドラマとして受け入れている人が増えたことが、近年のBLファンの広がりの要因だとすず木さんは言う。 では、初心者の入門編としては、どんな作品がオススメなのか。 「初心者が入りやすいのは、メディア化作品ですね。 人気が出るのには理由があって、読みやすく、キャラクターも受け入れやすい作品が多いですから。それに、人気作品のなかにはベッドシーンがあるものもあり、最初にそこに入ると戸惑う方もいらっしゃるかもしれませんが、メディア化作品の場合はベッドシーンなどあっても、初心者が受け入れやすいと思います」 取材・文:田幸和歌子 1973年生まれ。出版社、広告制作会社勤務を経てフリーランスのライターに。週刊誌・月刊誌等で俳優などのインタビューを手掛けるほか、ドラマに関するコラムを様々な媒体で執筆中。主な著書に、『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』(太田出版)など。
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