液状化対策、8割国負担 県事業に特別交付税 知事、首相に弾力的支援要請
岸田文雄首相は31日、能登半島地震の復旧・復興支援本部会合で、富山県に対し、県が単独で実施する液状化対策事業の費用の8割を国が特別交付税で負担する方針を示した。会合後、新田八朗知事は官邸で首相と面会し、液状化対策に関して弾力的に財政支援を行うよう要請。首相は「中長期的に対応しなければならない」と応じ、継続的に支援を行うことを確約した。 岸田首相は石川県が設置する「復興基金」の財源として特別交付税520億円を手当てすると表明。被害の大きい富山、新潟県では基金は創設せず、代替措置として、毎年度の特別交付税の算定の際、両県の地方自治体が行う液状化対策の単独事業について国が8割を措置するとした。 新田知事は首相に対し「背中を押してもらう力になる」と謝意を伝えた。首相は「時間がかかることを覚悟しなければならない。今後も状況は刻々と変化するので、相談してもらいたい」と述べた。 新田知事は基金が設置されないことには「基金は特例だと考えている。特別交付税で措置されることが大事」と理解を示した。事業費の8割を国が負担することに「大変にありがたい。今後も安心して対応に当たることができる」と歓迎した。 橘慶一郎、田畑裕明両衆院議員、堂故茂参院議員が同席した。 ●「観光支援、富山と能登を一体的に」 枠組み構築求める 新田知事は官邸で、森屋宏官房副長官とも面会し、震災による観光面での損失が年額700億円と試算されることに触れ、観光業界への追加的な支援を求めた。 甚大な被害を受けた能登地域では今後、手厚い旅行需要喚起策が講じられる方向となっていることを踏まえ、新田知事は「能登と富山は周遊観光となるケースが多い。能登半島と富山の観光を一体的に支援する枠組みを考えてほしい」と求めた。