寒ブリ400本、宇出津沸いた 被災の港、今季最多 金沢で競り「煌」級の大物も
能登半島地震で隆起するなど大きな被害を受けた宇出津港(能登町)で13日朝、今季最多となる寒ブリ約400本が水揚げされた。最高級ブランド「煌(きらめき)」に相当する大物もあり、大半が金沢市の石川県漁協かなざわ総合市場で競りに掛けられた。県内の寒ブリ水揚げ量の約4割を占める宇出津港は復旧が完了していないものの、例年通りのまとまった水揚げに沸き、今シーズンの本格化へ期待を高めた。 競りに掛けられたブリは能登町沖の定置網に掛かった重さ8~9キロ台が中心で、中には15キロの大物もあった。地震で宇出津港の一角にある県漁協能都支所の競り場の屋根が傾き、地面に凹凸ができた。フォークリフトが場内に乗り入れられないなど不便な状態が続いており、ほとんどのブリが金沢に運ばれた。 かなざわ総合市場では午前8時半に競りが始まり、仲買人が胴回りの太さなどを見極めながら競り落としていった。県漁協などは2022年度から、12~1月に重さ14キロ以上で傷がないなどの基準を満たしたブリを「煌」に認定しており、今回水揚げされた15キロの「煌級」には1キロ当たり1600円の値が付いた。 県水産総合センターによると、震災前の22年度におけるブリ定置網漁の水揚げ量は県内主要10港で約884トン。そのうち宇出津港が最多の約364トンを占めた。 約60本を競り落とした新田商店(かほく市)の担当者は「例年通り能登町産のブリがたくさん競りに掛けられ、安心した。頑張って売って能登の復興に貢献したい」と話した。 13日は能都支所の競り場でも5本が取引された。支所の担当者は「漁師を含む多くの漁業関係者は地震で大変な思いをしているだけに、復興を後押しするような豊漁が続いてほしい」と期待を込めた。