JR九州高速船浸水隠し 親会社の調査不十分 第三者委報告格付け委
JR九州の子会社「JR九州高速船」の日韓高速船を巡る浸水隠し問題で、弁護士など有志でつくる「第三者委員会報告書格付け委員会」(委員長=久保利英明弁護士)は27日、JR九州が設置した第三者委員会の報告書に対する評価結果を公表した。子会社側に偏り、親会社のJR九州への調査が不十分などと指摘。A~DとFの5段階評価で、格付け委員9人のうち2人が最低のF(不合格)、7人がDを付ける厳しい内容だった。 【写真で見る】JR九州の日韓高速船「クイーンビートル」 格付け委員は、第三者委の委員構成の独立性や再発防止の提言の実効性などを個別に評価。このうち、全委員で共通した指摘が、JR九州高速船がJR九州の完全子会社で、2022年に投入した大型高速船「クイーンビートル(QB)」の運航事業主体がJR九州と認められる中、その調査が十分でない――という点だった。 第三者委の報告書は、船体導入の合理性やQBを1隻体制で運航することとした経営判断の部分を調査対象としなかった。これについて、報告書を「不合格」とした久保利委員長は「運航体制などの調査検討は第三者委の基本的使命。調査を回避しては第三者委設置の意味が失われる」と批判した。 この問題を巡り、JR九州は23日にJR九州高速船の船舶事業からの撤退を表明。事業の廃止手続きや福岡海上保安部による捜査の対応後に同社を清算することにしている。【下原知広】