インド株投資信託で資産アップを狙う人が急増中! 日本人は米国株の次にインド株に投資【投資信託の最前線】
●過去のピーク時はBRICsの一部としての人気 今は新興国株投資でインド株が独り勝ちの様相に 前回の連載では、9月末時点のインド株型投資信託の残高は3兆8400億円と、過去のピーク時(2007年12月、2018年1月)の2.7倍程度に達し、急拡大していることを取り上げました。10月のインド株相場はやや軟調な動きとなりましたが、それでも月間で400億円程度の資金流入があり、10月末時点で3兆8800億円と過去最高残高を更新しています。 ただ、データを見るときに留意するべき点もあります。2007年と2018年にインド株型投信の残高がピークをつけた時は、投資信託全体の残高(ETFを除く追加型株式投信)自体が60兆円程度でした。足元の10月末では135兆円程度まで拡大しているため、単純に個人投資家の資産に占めるインド株投資信託の比率が2.7倍まで上昇しているということではありません。また、2007年当時は、BRICsを中心とした新興国株型投資信託全体の残高が伸びていましたし、2017年はインド債券型の投資信託の残高も伸びていました。 それらを踏まえて、今回の流入拡大を見ると、新興国に投資するタイプの投信の中で、インド株は一人勝ちの様相を強めていると考えられます。 ●単一国株型で最も残高が大きいのは 米国株型で合計22.1兆円と格別の人気 そこで、実際にインド株型投資信託の残高を、他の単一の国の株式を対象とする投資信託と比較してみましょう。 投信評価を行うモーニングスターのデータによれば、9月末時点の外国株式型の残高は67.6兆円に達しています。内訳をみると、その過半は世界に分散して投資するグローバル株式型となっています。 一方で、単一国株型で、最も残高が大きいのが米国株型投資信託で、アクティブ型やインデックス型も含めてその合計残高は22.1兆円に達しています。まだ差は大きいですが、この米国株型に続くのがインド株型投資信託で、すでに取り上げたように3.8兆円。3位以下の残高はほとんどなく、豪州株型が2500億円程度、ベトナム株型が1600億円程度、中国株型(中華圏含む)が1400億円程度にとどまっています。なお、インド株ファンドは9月末時点で41本まで増加していますが、1本あたりのファンド残高が900億円を超えていることからも、他の新興国の単一国ファンドとの人気の差が際立っています。 ●日本株以外で資産アップを狙う資金は 先進国は米国、新興国はインドに向かう傾向が強まる ちなみに、日本株型の残高が16.9兆円なので、米国型は日本株型の残高も上回っており、極めて人気の高い投資先となっていることが分かります。つまり、単一国の株式型としては、米国株、日本株、インド株の3カ国に残高が集中しており、これらを除いて1兆円に達している単一国はありません。 テーマ型やセクターに特化したものなどでより高い成績を狙う動きはあるものの、単一国でより高い成長を狙う資金は、先進国では米国へ、新興国ではインドへ向かう傾向が強まっていると言えそうです。 藤原延介(ふじわら・のぶゆき) 1998年三菱信託銀⾏(現三菱UFJ信託銀行)⼊社後、2001年ロイター・ジャパン(リッパー・ジャパン)、2007年ドイチェ・アセット・マネジメント、2019年アムンディ・ジャパンを経て、2021年にBNPパリバ・アセットマネジメントに入社。投信営業本部マーケティンググループ 部長。ドイチェAMでは資産運用研究所長を務めるなど、約25年に渡り資産運用や投資信託に関するリサーチや投資啓蒙に従事。慶応⼤学経済学部卒。
藤原延介
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