5年前には渋野日向子を圧倒 3位発進のルーキー吉澤柚月が初Vへ注意する“欲のさじ加減”
<Sky レディースABC杯 初日◇24日◇ABCゴルフ倶楽部(兵庫県)◇6645ヤード・パー72> 早大卒のルーキー・稲垣さん【写真】 昨年のプロテストに3度目の挑戦で合格した吉澤柚月が8バーディ・2ボギーの自己ベストタイ「66」で回り、首位と1打差の3位タイと好スタートを切った。3メートルを沈めた4番、2オンに成功した18番など4つのパー5ですべてバーディを奪ったマネジメント通りのラウンド。「昨日の練習ラウンドでパー5でしっかり取らないといけないと思っていた。ショット、パットともに良かったし、リカバリーもうまくできた」というバーディラッシュに満足度も高かった。 QTランク28位の資格で夏場まではレギュラーツアーが主戦場だった。しかし、3月の開幕戦から6月の「宮里藍サントリーレディス」まで15試合連続で予選落ち。「結果を残したいという気持ちが強すぎて、ショットでチャンスを作っていく自分のゴルフができなかった。1打差の予選落ちも多く、何度も心は折れました」。5月の国内メジャー初戦「ワールドレディスサロンパスカップ」は2日目の最終ホールで1メートルのバーディパットに失敗。「あの試合も1打差。大事なところでまた1メートルを外してしまった」という予選落ちだった。 地元の千葉で行われた6月の「ニチレイレディス」で初めて予選を通ったが、第1回リランキングは68位、第2回リランキングは81位に終わり、プロ1年目のレギュラーツアーは終わった。「調子が悪いわけじゃなかった。だから、自分は通用しないのかなとも思った。自信がなくなりました」。そこから自問自答。「自分のゴルフに徹しよう。1打1打」を意識することで調子は上向いてきたという。 ステップ・アップ・ツアーのデビュー戦となった7月の「ロイヤルメドゥカップ」で2位に入り、2戦目の「カストロールレディース」は初日、2日目と首位に立って6位になった。ツアー2戦目だった麗澤高1年時の2019年「伊藤園レディス」2日目に、その年の「AIG女子オープン」(全英)を制した渋野日向子と同組で回り、「68」をマーク。「72」で予選落ちした渋野を圧倒したころの輝きを時間をかけて取り戻してきた。 昨年のプロテスト合格者でレギュラー、ステップともにまだ優勝者はいない。「自分は欲が強すぎて、抑えるのに必死です」と自ら手綱を締めるが、「優勝したいです」が偽らざる本音だ。「楽しみにしていた4日間の初日をいい位置で終われた。賞金も高い大会。頑張りたいです。欲をうまくコントロールしていきたい」。優勝には『欲』も大事な原動力。その塩梅を間違えなければ、一等賞のゴールが見えてくる。(文・臼杵孝志)