先進の「高級SUV」でアウディに対抗 中国セレス、欧州市場へ進出 BEVとレンジエクステンダー導入へ
デジタル技術に「優位性」
5と同時に登場するのが、ランドローバー・ディスカバリーをライバルに見据えた6人乗りSUVの7だ。 パワートレインはRExのみで、5 RExと同じ40kWhバッテリーと266psのリアモーターを搭載する。デュアルモーター車では前後に永久磁石同期モーターを使用し、合計出力440psと最大トルク66.6kg-mを発生、0-100km/h加速は4.8秒となる。 欧州WLTPにおけるバッテリーのみの航続距離は、シングルモーター車で135km、デュアルモーター車で140kmとされる。 大型SUVの9の欧州仕様はまだ発表されていないが、5と7よりも大型で、BEVとRexを設定している。欧州では5と7の後に登場する。 セレスは、先進的なデジタルサービスとソフトウェアの無線(OTA)アップデートを自社モデルの特徴に挙げている。欧州車と比較して、アップデートの迅速さに優位性があるという。 セレスの海外市場責任者であるJiaxi You氏は取材で、「セレスはテクノロジーとインテリジェンスによってラグジュアリーを再定義しようとしている」と語った。 「新しいソフトウェア・バージョンが用意できたら、OTAアップデートでお客様にお届けすることができます。ソフトウェアは週ごとに進化していきます。当社は常に製品を改善するために、お客様からのインプットやフィードバックを集め続けています」 こうした対応は「従来の開発よりもはるかに機敏」であり、「海外市場専任の担当者」により、新機能を現地の嗜好に合わせて調整できるという。 「さまざまなシナリオについて、お客様からのフィードバックを注視しています。バグ修正であれば一晩ですぐに実行できますが、製品のアップグレードや新機能追加の場合は、OTAが増えすぎないようにバンドル(セット化)します」
タッチと音声操作が主体
セレス車のインテリアには物理的なボタンがほとんどなく(ステアリングホイールにのみ装着)、タッチスクリーンおよび音声での操作が主となる。タッチによる車載機能の操作については利便性や安全性を懸念する声もあるが、セレスは問題視していない。 「中国では数年前まで、すべてのクルマに物理ボタンが装備されていました。ボタンが多ければ多いほど、そのクルマは高級なのです。今では、その役割がタッチスクリーンに置き換わりました」 「すでに技術的なギャップを超えているので、ボイスコントロールがお客様とクルマの間の主要なインタラクションになると思います」 セレスは欧州市場における販売目標をまだ公表していないが、ブランド構築の難しさを認識しており、BYDやGWMのように既存の現地ディーラー・フランチャイズと提携して販売を行う予定だ。 この点についてJiaxi You氏は、ブランド認知度の問題だけでなく、信頼の問題もあると語った。 「当社の戦略は、素晴らしい製品とクラス最高のサービスを提供し、一人一人のお客様を大切にすることです。欧州には長くとどまるつもりです」 欧州でのライバルブランドについては言及を避けたが、中国では「高級車ブランドのランキングで、メルセデス・ベンツ、BMW、アウディ、テスラのすぐ後ろに位置するのがセレスです」と説明した。
チャーリー・マーティン(執筆) 林汰久也(翻訳)