「監督は絶対的な存在であるべき」「学生の前で夫婦ゲンカはしない」青学大を箱根駅伝の常勝軍団にした原晋監督と妻の“夫婦のルール”
今年も箱根駅伝が開幕する。前回大会で駒澤大から王座を奪還した青山学院大は、どのような王者の走りを見せるだろうか。 【秘蔵写真】はしゃぐ原監督に叫ぶ大八木監督!“茶髪サングラス”で2区を走ったエース、柏原・神野ら山の神に黒縁メガネの大迫傑も…箱根駅伝スターの名シーンを一気に見る(90枚超) 原晋監督、そして学生たちを支えるのが、寮母を務める原美穂さんだ。寮母という立場から青学の強さの秘密を解き明かす、原美穂さん著『フツーの主婦が、弱かった青山学院大学陸上競技部の寮母になって箱根駅伝で常連校になるまでを支えた39の言葉』(アスコム刊)から、「原監督との役割分担」に関する章を抜粋して紹介します(全3回の1回目/#2、#3につづく)。 主役は学生であり、監督。 その場の主役をきっちり立てられるのがよい裏方です。 ◆◆◆ 学生の前での夫婦ゲンカはガマンしています。 学生の前では監督を立てるようにしています。明らかに監督の言っていることが間違っていると思うことがあっても、学生の前ではそれは指摘しません。あとで2人になったときに、「さっきのは違うんじゃない?」と伝えるに留めます。 その理由は、学生にとって監督は、絶対的な存在であるべきだと思うからです。主役は、寮母ではなく学生、監督です。もしわたしが学生の前で「監督、それは違うでしょう」などと言ってしまっては、監督の立場がなくなってしまいます。
自分が引っ張るんだという思いが強いあまり…
今でこそ成果を出した監督ということになっていますが、寮に来たばかりのころの監督は、実績のない新人で、学生から見ても、この監督についていくしかないとはいえ、本当についていって大丈夫かなと不安もあったことでしょう。監督は思ったことをそのまま口にするタイプなので、学生にはその言葉がきつくあたっているように聞こえることがあったはずです。今はだいぶ丸くなって伝え方もうまくなりましたが、以前は「え、それ言っちゃう?」と驚くようなことを口にしていました。特に最初は、自分が引っ張るんだという思いが強いあまり、学生に対して十分な説明が足りていなかった時期もあったように思います。 その分、監督を盛り立てる必要があったのです。 監督とわたしの間には、いつしかしっかりとした役割分担ができてきました。それは、監督は「学生の走りの面倒を見る」、わたしは「学生の生活の面倒を見る」、というものです。わたしも少しずつ、陸上とはどんな競技なのか、どれくらいのタイムで走れるといいタイムと言えるのか、この練習にはどんな意味があるのか、などがわかってきましたが、そこについてはあまり口を挟まないようにしてきました。万一、監督とわたしの言っていることが異なっていたら、学生は戸惑ってしまうからです。青山学院大学陸上競技部では、学生が一番の主役です。その主役を、寮母の余計な一言で迷わせてはならないと思います。
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