メルセデスAMG G 63へ試乗 新サスでSUVライクな走り! 4.0L V8はマイルドHV化 操縦性は歴代ベスト
操縦性は歴代ベスト SUVライクに運転できる
最新仕様で目玉となる技術が、AMGアクティブライド・コントロールと呼ばれるサスペンション。トーションバーのクロス・スタビライザーが油圧システムに置換され、相互接続されるダンパーも専用品になる。 オフロードではソフトにし、走破性を担保。オンロードではハードにし、カーブでのボディロールを減らし、安定性を高める。 これにより、操縦性は歴代のGクラスでベストになった。メルセデス・ベンツの技術者の1人は、アウトバーンでの走行時に、3秒先読みしてステアリングホイールを回す必要がなくなったと話していた。皮肉のようにも聞こえるが。 実際に速めのスピードで走らせてみると、確かに操縦性はタイトに変身。カーブでは滑らかに旋回し、正確にラインへ導くことができるようになっている。ポルシェ・カイエンほどではないにしろ。 ステアリングホイールの切り始めには、まだ遊びが多い。ワインディングを高速で下るような場面では、ドライバーが腕を思い切り動かす必要はある。それでも、大きなボディがひと回り小さく感じられる。ずっとSUVライクに運転できる。
乗り心地も上質 圧巻のオフロード性能
乗り心地もだいぶ上質。コンフォート・モードを選べば、しなやかに路面をいなし、高速道路を安楽に突き進める。風切り音が大きいけれど。 スポーツ+モードではぐっと引き締まり、ボディロールが最小限に抑えられる。とはいえ、コンフォートでも驚くほど傾くことはないのだが。またエグゾーストノートには、アフターファイヤーの破裂音が混ざるようになる。 インディビジュアル・モードもあり、お好みの設定を組み合わせられる。エグゾーストは全開、サスペンションはソフトという組み合わせが、AMGのGクラスらしいかも。 悪路性能は圧巻。ラリーコースのような高速セクションでは、軽くない車重を活かし、荷重移動を活かした走りがしやすい。2m近い全高を考えると、安定感も凄い。 ドライブモードにはトラクションプロがあり、砂漠からの脱出に好適。ゴツゴツとした岩場での低速クローリングも、得意分野だ。 自己主張の塊のような、AMG G 63。アップデートを経て、最も優れた操縦性を持つGクラスへ進化した。 約11万ポンド(約2112万円)でランドローバー・ディフェンダー 110が買えるとしても、18万ポンド(約3456万円)超のこちらへ、強く惹かれる人は少なくないはずだ。 ◯:ワイルドなサウンド 圧巻の速さ 自己主張の強さ △:さほど実用的ではない 操縦性はクラスのトップではない 人によっては派手すぎると感じるかも
メルセデスAMG G 63(英国仕様)のスペック
英国価格:18万4595ポンド(約3544万円) 全長:4866mm 全幅:1931mm 全高:1975mm 最高速度:220km/h 0-100km/h加速:4.5秒 燃費:6.4km/L CO2排出量:358g/km 車両重量:2640kg パワートレイン:V型8気筒3892cc ツイン・ターボチャージャー+ISG 使用燃料:ガソリン 最高出力:585ps/6000rpm 最大トルク:86.5kg-m/2500rpm ギアボックス:9速オートマティック(四輪駆動)
マレー・スカリオン(執筆) 中嶋健治(翻訳)