「ここにくれば良いものが揃う」3月末、140年の歴史に幕…家族の歴史にはいつも百貨店が 入学式の洋服、大切に使っている食器 “最後の初売り”親子に密着
特別な初売りです。長野県松本市では2025年2月にパルコが、3月には井上百貨店が閉店します。市民に長く愛されてきた店の最後の初売り。感謝を込めた店側と、閉店を惜しむ客に密着しました。 【動画で見る】「ここにくれば良いものが揃う」3月末、140年の歴史に幕…家族の歴史にはいつも百貨店が 入学式の洋服、大切に使っている食器 “最後の初売り”親子に密着
■「思い出深い店でさみしい」
1月2日午前10時―。 店員: 「おめでとうございまーす」 開店と同時に客が次々と店内へ。井上百貨店の初売りです。お目当てはもちろん福袋。 大町市から: 「やりました!って感じです」 市内から: 「“最後の記念”に、と思う気持ちと一緒に購入しました」 駅前の本店は、2025年3月末での閉店が決まっていて、これが最後の初売り。
一方、松本パルコも2月末で閉店。こちらも朝早くから行列ができていました。 諏訪市から: 「高校時代、よく寄らせてもらってて、思い出深い店なのでさみしいなと。長野県では松本しかなかったので、誇りではあったんですけど」 松本のシンボル的存在だった2つの大型店。店にとっても、客にとっても、特別な一日となりました。
■年末に準備した福袋の中身は
12月27日―。 年末、井上では福袋に商品を詰める作業が進んでいました。 井上百貨店・山地奨さん: 「そうですね、ちょっと複雑、閉店ということもありますので」 寂しさをにじませるのは山地奨さん。 人と接する仕事がしたいと、幼い頃から足を運んだ井上に入社して10年目。初めて福袋の担当を任されました。
井上百貨店・山地奨さん: 「いつもよりいいものを入れていますので、楽しんでいただきたいなと」 3カ月前から検討したという中身は1万5000円相当の台所用品に、1万円の商品券が入って値段は1万4000円。本店ではこれが最後、さらに創業140周年の感謝の思いを込め、奮発しました。
■かつては福袋1300個を準備
1885(明治18)年に呉服店として開業した井上。1979(昭和54)年に現在の駅前に移転オープン。初日は店の前の道路が人で埋め尽くされました。 こちらは90年代の初売りの準備。トラックから福袋の箱をリレー方式で運び入れます。その数なんと1300個。当日は客で身動きが取れないほどの盛況ぶりでした。
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