キヤノンマーケティングジャパン 西田健氏「マスもデジタルも分け隔てなく、信頼されるメディア空間の再構築を目指す」
──2025年に向けて見えてきた課題は何ですか。
マスメディア、マスコミュニケーションはオワコンだと言う人がいますが、私はまったくそう思いません。多くのマスメディアは今も政治や経済、世の中の出来事などをウォッチし、社会に遍在する問題や事件や事故などを広く人々に伝えて問題提起しています。もしマスメディアがなければ、たとえば自然災害などの際には自分自身ですべて一次情報を取り、自分の目で確かめる必要がありますが、それは無理な話です。 日本中に、世界中にネットワークを張り、人を派遣し、地道に取材、追究し報道しているのはマスメディアです。多くのインターネットは、それらの一次情報にタダ乗りをし、極端に大きなユーザー数や規模によって、中間で利益をかすめ取っているに過ぎません。 問題なのは、そういう状況にしてしまった生活者の情報に対する態度(情報はタダだという意識)と、一部のメディアの質の低下や安易な切り売り、そしてインターネットポータルサイトや、キュレーションメディアによる情報搾取の利益構造(一次情報提供者が利益を得ないで、それらをまとめた二次情報提供者が利益を得る)です。2025年は、これらを是正するきっかけの年にしなければいけません。
──2025年にチャレンジしたいことを教えてください。
マスメディアは、くだらない情報を流して既得権益にあぐらをかいていると言われて元気がなく、デジタルメディアは、偽・誤情報や嘘、なりすまし、批判や一方的な攻撃が氾濫して生活者が離れていったと、昨今では言われています。いま一度、マスメディア、デジタルメディアの分け隔てなく生活者とのコミュニケーションを一緒に見直し、議論し、意見を出し合い、考え抜いて、もう一度、生活者に寄り添う信頼されるメディア、情報空間になるような共同作業をしていかなければいけません。 そのためには、マスもデジタルも関係なく、両方の世界を行ったり来たりできる、世代を超える知見と経験値、人材が必要で、自分自身もそのような大きな目標をもって活動していきたいです。 ・年末年始企画「IN/OUT 2025」の記事一覧
編集部