意外と知らない…南海トラフ巨大地震と首都直下地震の「連動」がやってくるかもしれない未来
2024年1月1日、能登半島地震が発生した。大地震はいつ襲ってくるかわからないから恐ろしいということを多くの人が実感した出来事だった。昨年には南海トラフ「巨大地震注意」が発表され、大災害への危機感が増している。 【写真】日本人が青ざめる…突然命を奪う大災害「最悪すぎるシミュレーション」 もはや誰もが大地震から逃れられない時代、ベストセラーの話題書『首都防衛』では、知らなかったでは絶対にすまされない「最悪の被害想定」が描かれ、また、防災に必要なデータ・対策が1冊にまとまっている。 (※本記事は宮地美陽子『首都防衛』から抜粋・編集したものです)
壊滅的状態だが、最悪ではない
不幸中の幸いで、自宅近くの公園で家族でピクニックを楽しんでいた香織たちは無事だった。 耐震補強された大阪の社宅はひび割れが目立つ程度で、1週間ほどの備蓄もある。被災直後は電話の通話もできない状態だったが、次第に落ち着きを取り戻していった。 ただ、サプライチェーンの寸断や電力需要の抑制、生活必需品の価格高騰といった不安は尽きない。 南海トラフ巨大地震と首都直下地震の「連動」を偶然と見てはならないことは歴史が証明している。 たとえば、1854年12月23日の「安政東海地震」が発生し、翌24日には「安政南海地震」が起き、伊豆から四国までの広範囲に大きな被害をもたらした。 さらに1855年11月11日には「安政江戸地震」が発生し、東京や神奈川、千葉などで震度6以上を記録している。 西日本での地震は、東北地方の地震よりも首都圏に揺れが伝わりやすいとされる。 2011年3月の東日本大震災発生時にも首都圏は揺れたが、西日本での発生はその威力が増すと考えられているのだ。つまり、南海トラフ巨大地震が発生すれば長周期地震動が首都圏を襲うことを意味する。 東京都の被害想定ではM9級の南海トラフ巨大地震が生じれば、10分強で島嶼部に最大27メートル超の津波が押し寄せ、約1300棟の建物が全壊し、1000人近くの命が奪われるとされている。 首都圏と関西圏、そして周辺地域がほぼ同時にダメージを受けることになれば、日本が壊滅的な状況に置かれることは想像に難くない。 だが、それでも「これが最悪のシミュレーション」というのはまだ早い。その理由は、南海トラフ巨大地震の後に富士山周辺で誘発地震があれば、富士山の噴火にも連動する可能性があるからだ。 1703年からの「大連動」が生じた歴史を忘れてはならない。 富士山は1707年の「宝永大噴火」から眠り状態にあるとみられているものの、紛れもない活火山だ。東日本大震災の後にはマグマが上昇し、山麓に亀裂が生じて地熱が上昇するなどの異変もみられてきた。ひとたび噴火すれば、火砕流や溶岩流による被害のみならず、火山灰は首都圏にも降り積もる。 つづく「『まさか死んでないよな…』ある日突然、日本人を襲う大災害『最悪のシミュレーション』」では、日本でかなりの確率で起こり得る「恐怖の大連動」の全容を具体的なケース・シミュレーションで描き出している。
宮地 美陽子(東京都知事政務担当特別秘書)