自民党総裁選、石破茂氏の勝利が「それほど意外な結果ではない」ワケ/倉山満の政局速報
国民人気だけでは足りない「決選投票」
抜け出したのは、小泉進次郎・石破茂・高市早苗。普段なら、およそ総裁候補になれるような人たちではないが、「選挙に負けるかも」となると、第一法則が発動する。最も国民人気が高い小泉進次郎氏が抜け出し、石破・高市が追う展開となった。 しかし小泉氏は、あまりに若すぎた。討論会での発言も不安定で「これで総理大臣が務まるのか」と不安を与えるには十分だった。急失速。 石破・高市が猛追、小泉も離されまいと「三強」の状態となった。他の候補は、もはや「通行人」の扱い。 ただし、あまりに候補者が多すぎて、誰もが決定打を欠く。自民党総裁選は、1回目の投票で過半数を得る候補がいないと、上位2位で決選投票を行う。そこで、議員同士の合従連衡がカギとなる。 ここで第二法則が発動する。三人の間で議員票の奪い合いが激化、他の候補も決選ではどの候補に乗るか、五里霧中・暗中模索・百鬼夜行。権謀術策が繰り広げられた。
派閥を解消すると真の派閥抗争が激化する
そこで二つ目の理論である。自民党が派閥解消を言い出したら、真の派閥抗争が激化する。事実した。『週刊SPA!』の連載では、他にもアクターを紹介したが、真の派閥の領袖は三人だと紹介してきた。すなわち、麻生太郎元首相、菅義偉前首相、岸田文雄現首相である。 この中で、もっともはやく旗幟を鮮明にしたのは菅前首相。小泉進次郎氏の応援を表明したが、石破茂氏との接近も囁かれていた。 麻生元首相は投票日前日になり、高市氏を応援すると決めたとの報道が流れた。 岸田首相も投票日当日に、石破応援すると決めたとの報道が流れた。 基本的に、この流れで当日の投票は読み解ける。
小泉では太刀打ちできない。高市では危うい
第1回投票では、 高市氏が大健闘。議員票72、党員票109 石破氏は2位を死守。議員票46、党員票108 小泉氏はそれでも猛追、議員票75、党員票61 3位以下の議員票の争奪が決戦となった。 結局、岸田系の票は石破氏に流れ、逆転。これには立憲の代表が野田佳彦氏になったのも大きかろう。「小泉では太刀打ちできない。高市では危うい」の声が広まった。 野田氏の演説や討論が特に優れているとも思わないが、そういうイメージが広がっている事実が重要だ。 かくして、石破氏の逆転勝利となった。