“ジャニーズだけじゃない”当事者が伝えたい性被害 ~前編~
■“性暴力被害だったんだ”との気づきは21歳
学生の頃の安西さんは、性に関する知識があまりなく、自身がいじめの被害者だという認識はあったものの、小・中・高で受けてきたことに対して自分でもピンとこない状態だったという。被害を受ける年齢によって、自分に起きていることが“性被害”だと理解できない場合もあり、何なのか理解できないまま、心身に不調が出て専門的な治療を受ける例もあるという。 安西さんは21歳になり、様々な人が生きにくさなどを話す場で、自身の“いじめ被害”について話した。すると、参加していた女性から「それって性暴力被害だよね」と指摘を受けたという。モヤモヤしていた気持ちが一変し、「そうだ」と納得。小・中・高と受けてきたのは“性暴力”だとようやく認識できたという。
■恋愛ができないという確信がある
長期的ないじめや性暴力を受けてきた安西さん。イベントでは自身の恋愛に関する思いも明かした。 安西さんは20代以降、女性を好きになり、信頼関係を築いたとしても、女性への恐怖やおびえなどもあり、性的な行動には至らず、進展はなかった。その根本には“性暴力を受けてきたこんな僕なんかと…”といった気持ちがあるとして、自身を「恋愛回避型」になってしまったと話す。 “どうやって生きるか、もがいて、もがいて生きてきた”と話す安西さん。人と向き合い、被害とも向き合ってアグレッシブに行動してきたと自負しているが、「恋愛は重要で、したいけれど、できないという確信がある」という。40代になり、何のために生きてきたんだろうと思うこともあると話す。 性被害はその時だけの恐怖、苦しみだけではない。その後の人生の歩み方、考えにも大きく影響を与える。後編では、16歳で性被害を受けた、つじさんの体験、暗転したというその後の人生、性犯罪をめぐる課題を伝える。